NISTEP注目科学技術 - 2022_E155

概要
近年菌叢解析技術が発達し、環境等試料中の菌叢は極めて複雑であることが明らかとなってきた。一方、菌叢を構成する細菌がお互いにどのような影響を及ぼし合っているか、環境変化にどのように影響を受け、また、環境にどのような影響を与えているのかについては研究が進んでいない。菌叢を構成する各細菌群が、環境中で増殖しているのか、また、どの程度早く生育するのかなど生育挙動に関する情報は、その環境中において細菌同士の相互作用や各細菌の環境全体への寄与度を推定する上で非常に役立つ。しかしながら、これまでの技術では生育の遅い微生物や培養ができない部生物などの生育挙動の解析は困難であった。近年、環境等試料から抽出したDNAを網羅的に次世代型シーケンサーで解析を行い、各細菌の生育速度をDNA配列解析データを基に推定する技術が開発されてきている。これらの技術は培養可能かどうかを問わず、菌叢を構成するすべての細菌を対象として生育速度を推定することを可能とし、腸内細菌叢の詳細な理解や各種環境中の細菌動態の理解と予測など細菌研究上の重要な基盤技術となりうると考えられる。
キーワード
エコシステム / 細菌叢 / リアルタイムモニタリング
ID 2022_E155
調査回 2022
注目/兆し 注目
所属機関 公的機関
専門分野 ライフサイエンス
専門度
実現時期 5年以降10年未満
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) 38 (農芸化学)
分析データ クラスタ 51 (生物生態・多様性)
研究段階
これまでに開発されている方法は、演算量が多いことから必要なマシンパワーに制限があり、また、NGS解析のコスト面からも気軽に行える状況とはなっていない。今後、NGS解析の低コスト化に加え、より洗練された計算アルゴリズムの開発により、低コスト化、高速化が進むことを期待している。
インパクト
2022年調査にはこの項目はありません。
必要な要素
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