NISTEP注目科学技術 - 2022_E137
概要
クロマグロの早期産卵誘導:クロマグロ資源の減少は、主に需要の増加とそれに伴う漁獲圧の増加によって起こったと考えられている。漁労を管理し、漁獲量を減少させる漁業管理は、最も有効な資源回復の方法と考えられるが、漁業者に与える経済的な負担等が大きい。資源回復に寄与できると考えられていたもうひとつの方法が完全養殖である。この開発により、日本でのクロマグロの海面養殖施設は飽和状態となった。環境収容力等の観点もあり増数の許可は下りない程である。しかし、その生産量は漁獲量に比べると大幅に低い。生産効率の悪い現在の完全養殖では、資源回復に寄与できない。生産のボトルネックは、冬季の冷水による若齢個体の死滅と考えられている。その解決策のひとつとして、クロマグロを通常よりも早期に産卵させ、冬季までに耐冷が高い2kg以上の個体にまで成長させることがあげられる。海上生簀での産卵は4-5月であるが、水温等の管理ができる陸上水槽で2-3月に産卵させ、成長させれば、その後は海上生簀でも養殖できるようになる、クロマグロの早期産卵誘導の確立は、資源回復の寄与を世界に先駆け可能にした科学技術の一例となるだろう。
キーワード
サステイナブル デベロップメント / 資源管理 / 食料問題
ID | 2022_E137 |
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調査回 | 2022 |
注目/兆し | 注目 |
所属機関 | 公的機関 |
専門分野 | 環境 |
専門度 | 中 |
実現時期 | 5年未満 |
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) | 40 (森林圏科学、水圏応用科学) |
分析データ クラスタ | 51 (生物生態・多様性) |
研究段階
陸上水槽においてクロマグロの早期産卵効率の向上に努めている。クロマグロの完全養殖の親魚集団に対応した親子判別用遺伝子マーカーを開発し、産卵関与親魚や産卵間隔など産卵特性を解明した。
インパクト
2022年調査にはこの項目はありません。
必要な要素
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