NISTEP注目科学技術 - 2022_E132

概要
一酸化炭素あるいは二酸化炭素を固定し、直接有用物質生産を行う好熱性(嫌気性)微生物の育種。Lanzatech社が好熱性一酸化炭素資化性菌を育種することで、極めて効率的に一酸化炭素からアセトン等の基盤的な化合物を高効率に生産することを発表した。従来の微生物を用いて二酸化炭素固定を行う生物の育種は光合成細菌や、大腸菌等に二酸化炭素固定能を与えるような育種が行われていたが、本事例は、従来、取扱が困難とされてきた嫌気性好熱菌を対象とした育種であり、従来の概念と大きく異なる。
キーワード
低炭素化 / 物質生産 / 嫌気性
ID 2022_E132
調査回 2022
注目/兆し 注目
所属機関 公的機関
専門分野 ライフサイエンス
専門度
実現時期 5年未満
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) 38 (農芸化学)
分析データ クラスタ 31 (環境化学)
研究段階
トップランナーであるLanzatech社においては、プラントレベルの実証を行っている。日本においても積水化学が導入し、ゴミからの物質生産としてプレスリリースを行った。鉄鋼所等での活用も可能である。今後、異なる微生物の育種及び多様な物質生産への応用等が、極めて競争的に起きることが予想される。微生物培養技術と生化学・分子生物学の融合が必要であり、国内は大きく立ち後れている。
インパクト
2022年調査にはこの項目はありません。
必要な要素
微生物に関連する分野を超えた連携が必要な育種であり、基礎、応用、等々、細分化された日本の研究体制での実現は相当程度に困難であることが予想される。逆に、そのような体制を構築できれば、国内においても実現可能性があるのではなかろうか。