NISTEP注目科学技術 - 2022_E85
概要
細胞で相分離により形成される液滴は、神経変性疾患の細胞毒性を示す凝集体に形成に関わる。また、液滴は転写・翻訳反応やタンパク質会合反応を制御し、重要な役割をもつ。つまり、細胞内の相分離を制御できれば、細胞内の生命現象を制御できる可能性がある。相分離現象はNature誌やScience誌においてBreakthroughとして選出され、創薬、材料化学等の広い分野から世界的に注目されている。
キーワード
相分離 / 遺伝子発現 / 核酸 / 神経変性疾患 / がん / ペプチド
ID | 2022_E85 |
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調査回 | 2022 |
注目/兆し | 注目 |
所属機関 | 大学 |
専門分野 | ライフサイエンス |
専門度 | 高 |
実現時期 | 5年以降10年未満 |
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) | 37 (生体分子化学) |
分析データ クラスタ | 42 (細胞生物学) |
研究段階
相分離と疾患の分子メカニズムが解明されつつある。これまで、相分離形成はペプチドやタンパク質が重要な含有物であると考えられてきたが、近年の研究によって、相分離形成には核酸(特にRNA)が重要であることが見出された。またRNAの構造変化(ヘアピンから四重らせんの変化)によって相分離が制御されていることが見出され、核酸構造を制御する人工核酸などのよって相分離が制御される試みが行われている。
インパクト
2022年調査にはこの項目はありません。
必要な要素
相分離を作り出すタンパク質と相互作用する合成高分子や核酸などによって、相分離現象を人為的に制御できる技術の開発。しかし、未だ相分離現象の詳細なメカニズムは不明な点がおおいため、メカニズム解明のための基礎研究が重要である。