NISTEP注目科学技術 - 2022_E57
概要
反すう動物の第一胃(ルーメン)内発酵を人為的に制御する技術の開発により、無機窒素化合物から効率的にタンパク質を合成することが可能になり、また、プロピオン酸などの特定の揮発性脂肪酸の生成量を増加させることが可能になる。これらの発酵制御技術が実現できれば、ウシに濃厚飼料(穀物など)を与えずに粗飼料(乾草などの繊維質飼料)のみを与えることで肥育ができるようになり、また、筋肉内交雑脂肪を増やすことができるようになる。現在、粗飼料および濃厚飼料の自給率は、それぞれ、約8割および2割であるため、この技術開発により我が国の自給率は大幅に向上することになる。
キーワード
第一胃(ルーメン)内発酵制御 / 非タンパク態窒素化合物 / タンパク質合成 / 浮遊菌 / 付着金 / 揮発性脂肪酸
ID | 2022_E57 |
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調査回 | 2022 |
注目/兆し | 注目 |
所属機関 | 大学 |
専門分野 | ライフサイエンス |
専門度 | 中 |
実現時期 | 10年以降 |
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) | 42 (獣医学、畜産学) |
分析データ クラスタ | 25 (食品化学・栄養学) |
研究段階
現在、同一飼料を与えた場合に、他個体とは第一胃内発酵パターンが明らかに異なる個体が少数見つかっている。このような個体では、第一胃内におけるタンパク質合成量が多く、また、生成される揮発性脂肪酸比が他個体と異なる。現在は、この発酵パターンの違いの原因・仕組みの調査が開始されたばかりで、また、大きな成果は得られていない。
インパクト
2022年調査にはこの項目はありません。
必要な要素
他国ではこのような事例はあまり注目されていないため、世界に先駆けて研究を進める必要がある。従って、全国レベルでの特殊な発酵パターンを有するウシの大規模な調査や研究チームが必要となるため、大規模な人材と資金の投入が必要になる。