NISTEP注目科学技術 - 2023_E88
概要
分子を組み合わせることで、生物が持っている機能(増殖、物質生産など)を試験管内で再構成したシステムの発展が期待される。すでにDNA複製、遺伝子発現、エネルギー生産、光合成など、多くの生物の機能が試験管内で達成されているが、今後はもっと高次元の機能(増殖、進化、複雑な物質生産)が可能になり、現在生物に依存している過程を置き換えることができると期待される。再構成したシステムは、1から人間がくみ上げたブラックボックスのないシステムであり、天然生物を使うよりも制御性が高く、最終的には効率も安全性も高くなることが期待される。
キーワード
人工細胞 / 生物代替技術 / 無細胞技術
ID | 2023_E88 |
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調査回 | 2023 |
注目/兆し | 注目 |
所属機関 | 大学 |
専門分野 | ライフサイエンス |
専門度 | 高 |
実現時期 | 10年以降 |
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) | 43 (分子レベルから細胞レベルの生物学) |
分析データ クラスタ | 6 (分子生物学/診断・治療) |
研究段階
要素技術を研究室で開発している段階
インパクト
増殖する人工分子システムが実現すれば、現在、生物に頼っている全ての過程(有機物の生産、バイオ医薬品の生産、食糧生産など)を置き換える可能性があり、人間のライフスタイルを大きく変える可能性がある。例えば、天候不順や病気などによる食糧不足を防ぐことができる。また、倫理的な側面では、食糧のためにほかの生物を殺さなくてもよくなる。
必要な要素
すでに、細胞を増殖するための要素技術(DNA複製、遺伝子発現、エネルギー合成)は実現できているが、それらを統合させたシステムの反応効率が悪い。これらを統合する技術の開発が必要である。