NISTEP注目科学技術 - 2022_E41

概要
宇宙環境変動の計測技術:
日本も月・火星を含む宇宙開発に参入するようになり、官民あげて有人・無人の宇宙開発が進んでいる。宇宙空間には地球のような高密度な大気や磁場が存在しないため、常に太陽から放射される太陽風や太陽放射線の影響にさらされている。これらは時に人工衛星の不具合、通信障害、人体への被曝など人類の社会生活に深刻な影響を与える。2022年2月にはSpaceX社のStarlink衛星打ち上げ時に太陽嵐が到来し、打ち上げた49機中40機が喪失するという衝撃的被害が出た。今後、超小型衛星の普及に伴いこのような事故の頻度も上がるだろう。このような宇宙環境変動をリアルタイムでモニタする計測技術は非常に重要であり、高精度な計測技術の実現が期待される。具体的には、太陽活動を宇宙空間で常に計測する太陽版気象衛星、地上の多地点で太陽風を観測することで24時間観測を実現する観測網など、信頼性と継続性の高い技術がより必要とされる。
キーワード
宇宙環境計測 / 宇宙利用 / 有人探査
ID 2022_E41
調査回 2022
注目/兆し 注目
所属機関 大学
専門分野 宇宙・海洋・科学基盤
専門度
実現時期 5年未満
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) 24 (航空宇宙工学、船舶海洋工学)
分析データ クラスタ 9 (素粒子・原子核・宇宙物理学)
研究段階
宇宙環境計測技術は研究室で行う基礎研究としての計測原理は確立されつつある。一方、地球の気象観測のように天気予報の業務として使えるレベルの安定性・信頼性・継続性のある技術には達していない。製品として安定したモノづくりができるノウハウを持つ企業との共同研究を積極的に進めるべき段階にある。
インパクト
2022年調査にはこの項目はありません。
必要な要素
宇宙環境計測は宇宙に人類が進出する上で必須の技術であることは宇宙産業に携わる官庁や企業でも理解していないことが多い。本技術の発展には関係者への理解の浸透など社会的要素も必要となる。