NISTEP注目科学技術 - 2022_E31
概要
第5世代(5G)の通信技術が通信会社から提供がはじまったことは記憶に新しいが、その性能をさらに上げるための第6世代技術の研究開発が進められている。6G技術では従来に比べ広大な帯域を利用できるテラヘルツ領域の活用が検討される。しかしながら、テラヘルツ帯域では波の回折が小さく、通信効率の低下が懸念されている。このため、このためにビルの壁や車のボディなどに通信を高効率化するための人工材料(メタマテリアル)を導入し、自由に電磁波を取り回す手法が注目されている。メタマテリアルは金属パターンなどで構成され、望みの方向に電磁波を回折させることができ、通信効率を大幅に増強できる。さらに、こうしたメタマテリアルに人工知能技術を融合させ、よりスマートな動作が可能なIntelligent Reflecting Surfaceの実現が期待されている。
キーワード
Intelligent Reflecting Surface / 6G / メタマテリアル / メタ表面 / ホイヘンスメタ表面 / テラヘルツ
ID | 2022_E31 |
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調査回 | 2022 |
注目/兆し | 注目 |
所属機関 | 大学 |
専門分野 | ナノテクノロジー・材料 |
専門度 | 高 |
実現時期 | 5年未満 |
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) | 21 (電気電子工学) |
分析データ クラスタ | 38 (計算機・電気通信・通信デバイス・量子計算機) |
研究段階
すでに特定方向に電磁波を高効率に回折できるメタ表面は実現されている。こうしたメタ表面の大量生産技術を確立する必要がある。また、Intelligent Reflecting Surfaceのためにメタ表面を高変調・高効率に動的化する技術の開発も求められている。
インパクト
2022年調査にはこの項目はありません。
必要な要素
世界的に着目されているメタマテリアル技術であるが、日本ではアカデミックの研究コミュニティの規模が大きくない。一方、ドコモ、NEC、富士フィルム、ダイキン、日産などの企業を中心にメタマテリアル技術の活用が進んできている。メタマテリアル技術のアカデミックな研究の弱みが応用上の障害にもなってきているため、アカデミックの裾野も拡大していく必要がある。