NISTEP注目科学技術 - 2022_E15

概要
我が国を中心に飛躍的に発展しつつある哺乳類卵子の人口培養系を用いて老化等による卵質の悪化を改善する手法の開発、およびそれらと国内・海外で発展しつつある人工子宮の技術開発の融合による個体作成技術の開発。
キーワード
生殖細胞 / 生殖医療 / 人工子宮
ID 2022_E15
調査回 2022
注目/兆し 注目
所属機関 大学
専門分野 ライフサイエンス
専門度
実現時期 5年以降10年未満
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) 56 (生体機能および感覚に関する外科学)
分析データ クラスタ 41 (発生・分化・幹細胞)
研究段階
現在、卵子の作成はマウス等実験動物のES細胞を原材料とした卵子への人工誘導に限られている部分がある。今後この技術は、ヒトにおいての応用や、iPS細胞を原材料とする安定的な技術へと発展していくことが予想される。しかし、本来これらの技術をより安全に人への医療に応用することを考えると、加齢患者の体内にある卵巣内の細胞を材料とした技術への志向に切り替わっていくことが期待される。今後は、加齢患者の体内における卵子の老化が現象として発露する時期、そしてそれらが発露するメカニズムの解析を進めるとともに、それらの発露の前にもととなる細胞を取り出し、それらの要因を排除して質の高い卵子を得る方法を模索することも望まれる。
インパクト
2022年調査にはこの項目はありません。
必要な要素
要素技術については上述した通りだが、主な受益者が患者であることを考えると、まずは安全性や高い成功率を確保するとともに、特に1つの卵子=1つの生命という考え方が浸透したところがある我が国において、卵子研究に関する明確な指針も提示されるべきだろう。ただ、いたずらに知的好奇心を訴えるのではなく、高齢化社会と高齢出産社会が重なった現在の我が国において、高齢でも臨んだ時期に出産に至れるという希望的な側面をアピールすることが重要と思う。