NISTEP注目科学技術 - 2022_E11

概要
半導体材料としてシリコンを凌ぐ物性を持つ炭化シリコン,窒化ガリウム,酸化ガリウム,ダイヤモンドなど「次世代半導体の材料・プロセス技術」の実現が期待される.電力変換素子に注目すると,依然としてシリコンが主流であるものの,低・中・高耐圧用シリコンとそれぞれ置き換わる形で少しずつであるが実装されてきている.近年,多種多様なものの電動化が進められており,電気自動車を例にとると駆動用や給電用などの電力変換技術の発展は急務となっており高性能化・高効率化のための次世代半導体の材料・プロセス技術は極めて重要な研究分野である.ポストシリコンとして複数の半導体材料の研究開発が進められているため,耐圧や周波数など各材料の得意とする領域での材料や素子構造の最適化による応用分野で住み分ける形で展開していくと考えられる.
キーワード
ワイドバンドギャップ半導体 / 炭化シリコン / 窒化ガリウム / 酸化ガリウム / ダイヤモンド
ID 2022_E11
調査回 2022
注目/兆し 注目
所属機関 大学
専門分野 ナノテクノロジー・材料
専門度
実現時期 5年以降10年未満
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) 21 (電気電子工学)
分析データ クラスタ 27 (理化学/半導体・ナノ・材料)
研究段階
炭化シリコンは高耐圧分野向けの電車のインバータに利用され,加工性の悪さや歩留りの低さのほか低コスト化が課題になっているが,近年,低コスト化のためのウエハの大口径化が積極的に行われており,電気自動車などへの実装が期待される.窒化ガリウムについて,身近なところでは携帯電話やPC用のACアダプターが挙げられ,既存の高価であるが小型・高効率の利点から普及し始めている.これはLEDなどでの量産化による恩恵を受けたためと考えられ,ACアダプター100-200Vの比較的低耐圧で数量が出るところから展開されている.そのほか後発の酸化ガリウムに関しては低コストの利点を掲げて,研究開発が盛んにおこなわれている.ダイヤモンドについては,理論予測で高い半導体性能が示されているものの,他材料と比べてウエハの高品質化や大口径化がなかなか進んでおらず研究開発段階となっている.これら次世代材料がもつ物性のほか製造工程やコストなどの特徴を生かした製品群への展開が進んでいくと考えらえる.近年では,SiCとGaNを組み合わせたハイブリット型デバイスの提案・動作実証が報告されており,次世代パワー半導体材料の科学技術の今後の発展は非常に興味深い.
インパクト
2022年調査にはこの項目はありません。
必要な要素
この分野では国内企業が奮闘しており,国外企業に負けないような研究開発への支援が重要.