NISTEP注目科学技術 - 2022_E2
概要
【単一分子レベルの吸収分光が可能な超高感度分光手法および生体応用技術】
生体機能のコアとなるのはタンパク質に埋め込まれた機能分子であり、安定状態(平衡状態)からずれた非平衡状態で機能を発揮する。
そのため、この非平衡状態を調べることこそ、生体機能の分子メカニズムの理解にとって本質的に重要である。
これまでは、実験のやり易さから、レーザーなどの外部刺激で反応の開始時間を制御できる反応系が調べられてきた。
しかし、多くの生体反応(酵素反応や酸化還元反応など)は分子同士の物理接触や溶液条件の変動などによってトリガーされるため、実験で制御するのが難しく、研究が遅れている。
そこで、単一分子を観察し、確率的に生じる生体反応を検出する実験手法が望まれる。
ここで分光解析まで行えれば、エネルギーレベルなどの物理的な情報を含めた詳細な議論が可能となる。
ここ30年の間に単一分子の蛍光分光法が開発され、生体応用が進んできたが、単一分子の吸収検出に成功した例は皆無に等しい。
多くの生体機能分子は吸収特性を示すものの、無蛍光性である場合がほとんどであり、単一分子吸収分光の実現によって開拓できる研究領域は大きい。
生体機能のコアとなるのはタンパク質に埋め込まれた機能分子であり、安定状態(平衡状態)からずれた非平衡状態で機能を発揮する。
そのため、この非平衡状態を調べることこそ、生体機能の分子メカニズムの理解にとって本質的に重要である。
これまでは、実験のやり易さから、レーザーなどの外部刺激で反応の開始時間を制御できる反応系が調べられてきた。
しかし、多くの生体反応(酵素反応や酸化還元反応など)は分子同士の物理接触や溶液条件の変動などによってトリガーされるため、実験で制御するのが難しく、研究が遅れている。
そこで、単一分子を観察し、確率的に生じる生体反応を検出する実験手法が望まれる。
ここで分光解析まで行えれば、エネルギーレベルなどの物理的な情報を含めた詳細な議論が可能となる。
ここ30年の間に単一分子の蛍光分光法が開発され、生体応用が進んできたが、単一分子の吸収検出に成功した例は皆無に等しい。
多くの生体機能分子は吸収特性を示すものの、無蛍光性である場合がほとんどであり、単一分子吸収分光の実現によって開拓できる研究領域は大きい。
キーワード
分光計測 / 生物物理 / 顕微分光
ID | 2022_E2 |
---|---|
調査回 | 2022 |
注目/兆し | 注目 |
所属機関 | 大学 |
専門分野 | ライフサイエンス |
専門度 | 高 |
実現時期 | 5年以降10年未満 |
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) | 32 (物理化学、機能物性化学) |
分析データ クラスタ | 54 (理化学/分子化学) |
研究段階
分子の吸収熱を利用した顕微測定法は報告されている。[Gaiduk, A., et al. (2010) Science 330, 353] [Heylman, K.D., et al. (2016) Nat. Photonics 10, 788]
また、1分子レベルの吸収顕微についてもいくつかのデモ実験が報告されている。[Chong, S., et al. (2010) J. Phys. Chem. Lett. 1, 3316] [Kukura, P., et al. (2010) J. Phys. Chem. Lett. 1, 3323] [Celebrano, M., et al. (2011) Nat. Photonics 5, 95]
しかし、生体研究へ応用されるまでには今のところ至っていない。
また、1分子レベルの吸収顕微についてもいくつかのデモ実験が報告されている。[Chong, S., et al. (2010) J. Phys. Chem. Lett. 1, 3316] [Kukura, P., et al. (2010) J. Phys. Chem. Lett. 1, 3323] [Celebrano, M., et al. (2011) Nat. Photonics 5, 95]
しかし、生体研究へ応用されるまでには今のところ至っていない。
インパクト
2022年調査にはこの項目はありません。
必要な要素
基礎研究推進費、特にポスドクなどの人材を雇用してブーストするための費用