NISTEP注目科学技術 - 2023_W174
概要
難治癌は,全人類的課題といっても過言ではないが,新たな作用機構の抗がん剤はなかなか見出されていない.しかし,最近,希少白血病薬の研究中に得られた化合物がTNBCにも良好な作用を示し,そのほかの難治癌種にも良好な抑制効果を示している.この作用と類似する既存抗がん剤が見つけられていない.少なくとも,主要な抗がん剤とは作用機序が異なっていると推測される.しかし,未だその作用機構やターゲットが明確になっておらず,研究中である.
キーワード
抗がん物質 / 難治癌 / 癌細胞増殖抑制
ID | 2023_W174 |
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調査回 | 2023 |
注目/兆し | 兆し |
所属機関 | 大学 |
専門分野 | ライフサイエンス |
専門度 | 高 |
実現時期 | - |
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) | 50 (腫瘍学) |
分析データ クラスタ | 57 (腫瘍学/臨床・治療法) |
研究段階
当初,T細胞急性リンパ性白血病薬(TALL)として開発した一連の化合物の中に,TALLと同時に,TNBC等の難治癌に良好な抑制作用を示す化合物が得られてきた.
しかし,この作用機序と類似する既存抗がん剤が見つからず,作用機序が不明である.この研究は,東京都医学総合研究所,国立がん研究所(癌研究会)と共同で進められている.企業との共同研究の話も進んでいる.
しかし,この作用機序と類似する既存抗がん剤が見つからず,作用機序が不明である.この研究は,東京都医学総合研究所,国立がん研究所(癌研究会)と共同で進められている.企業との共同研究の話も進んでいる.
インパクト
TNBCをはじめとする難治癌は,世界的にも大きな問題であるが,これに有効な医薬品は発見されておらず,既存の抗がん剤とは異なった作用機序の新たな抗がん剤は世界的にも求めらており,そのニーズは急を要しさらに要求度も大変高い.この解決に資する新たな技術はすぐにでも求めらており,全人類的なニーズとも考えられ,インパクトは計り知れないほど大きい.
必要な要素
この化合物の構造はとてもシンプルで平易な構造であるので,工業化にはさほど困らないと考えているが,研究チームが小規模のため,実験の進みが遅いことが課題とされている.AMEDの助成も得られていない.
社会的な要素としては,医薬品の承認に時間がかかることであろう.一方でまだ,この技術は研究段階なので,そこの育成が,当面の課題であろう.
社会的な要素としては,医薬品の承認に時間がかかることであろう.一方でまだ,この技術は研究段階なので,そこの育成が,当面の課題であろう.