NISTEP注目科学技術 - 2023_W169
概要
「月面・火星におけるインフラ整備」
米国アルテミス計画や中国の宇宙開発の急速な進展から、現在の国際宇宙ステーションに滞在する数~十数名から、月面を含め地球外に居住する人口が100名を超えるのは最早時間の問題である。火星に見られる水の痕跡は、地下に人類が利用可能な水が蓄えられていると期待するに耐えうるほど自明となってきている。
国際宇宙探査ロードマップによれば、2030年には月面居住モジュールの活用も始まり、月面での人類の活動は、中国の動向など政治的な要素もあり、資源探査や基地建設などの具体的な目標に向けて、現在のように遠慮がちなものではなく、地球上における地政学的なものと同様に非常に活発になることが予想される。
ロボットアニメのような想像が現実になろうとする時、日本の現状を踏まえて戦略的にどう優先順位をつけて行動すべきか。
まず、宇宙開発はどのような場合においても、経済的な利益よりも科学的な題目が優先されてきた。地学は、現在では高校での修学者が減少し続けているが、少し前までは自国の成り立ちを知るために必須の学問であった。韓国や中国などの諸外国を見ても、各国の地質図が完成するまでは学問の中心であったように思われる。月や火星でも同じようなことが起こるはずであり、資源探査もさることながら、新たなフロンティアについて調べる際には、まず月や火星の精密な地質図を作成することが優先事項に挙げられる。例えば、月や火星で水を探すためには、地球における石油探査に似て、いきなり滾々と沸く油田があるはずもなく、石油の出そうな岩石や岩盤の状態を調べて掘削することになる。
そのような目的を標榜して宇宙開発が進む場合、いちいち岩石サンプルを地球に送って調べていては後れを取ることになるのは明らかであり、どこかの時点で現地に分析センターを設置することになる。将来的には居住空間へと発展すると思われるが、まずは無人か少人数の研究者が滞在して分析を行うインフラ設備を建設する技術が必要となる。
現在の日本では慎重すぎるほどに遅々としているが、将来を見据えて主導すべきである。例えば、分析装置は熱を持つことが多いため、冷却機構が必要であるが、宇宙空間では大気が少ないために空冷できない。そのため、地面に杭を打って放熱するか、クレーターの永年影で冷却するようなインフラ整備の技術が喫緊に必要となる。
米国アルテミス計画や中国の宇宙開発の急速な進展から、現在の国際宇宙ステーションに滞在する数~十数名から、月面を含め地球外に居住する人口が100名を超えるのは最早時間の問題である。火星に見られる水の痕跡は、地下に人類が利用可能な水が蓄えられていると期待するに耐えうるほど自明となってきている。
国際宇宙探査ロードマップによれば、2030年には月面居住モジュールの活用も始まり、月面での人類の活動は、中国の動向など政治的な要素もあり、資源探査や基地建設などの具体的な目標に向けて、現在のように遠慮がちなものではなく、地球上における地政学的なものと同様に非常に活発になることが予想される。
ロボットアニメのような想像が現実になろうとする時、日本の現状を踏まえて戦略的にどう優先順位をつけて行動すべきか。
まず、宇宙開発はどのような場合においても、経済的な利益よりも科学的な題目が優先されてきた。地学は、現在では高校での修学者が減少し続けているが、少し前までは自国の成り立ちを知るために必須の学問であった。韓国や中国などの諸外国を見ても、各国の地質図が完成するまでは学問の中心であったように思われる。月や火星でも同じようなことが起こるはずであり、資源探査もさることながら、新たなフロンティアについて調べる際には、まず月や火星の精密な地質図を作成することが優先事項に挙げられる。例えば、月や火星で水を探すためには、地球における石油探査に似て、いきなり滾々と沸く油田があるはずもなく、石油の出そうな岩石や岩盤の状態を調べて掘削することになる。
そのような目的を標榜して宇宙開発が進む場合、いちいち岩石サンプルを地球に送って調べていては後れを取ることになるのは明らかであり、どこかの時点で現地に分析センターを設置することになる。将来的には居住空間へと発展すると思われるが、まずは無人か少人数の研究者が滞在して分析を行うインフラ設備を建設する技術が必要となる。
現在の日本では慎重すぎるほどに遅々としているが、将来を見据えて主導すべきである。例えば、分析装置は熱を持つことが多いため、冷却機構が必要であるが、宇宙空間では大気が少ないために空冷できない。そのため、地面に杭を打って放熱するか、クレーターの永年影で冷却するようなインフラ整備の技術が喫緊に必要となる。
キーワード
宇宙探査 / 宇宙利用 / 宇宙資源
ID | 2023_W169 |
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調査回 | 2023 |
注目/兆し | 兆し |
所属機関 | 大学 |
専門分野 | 宇宙・海洋・科学基盤 |
専門度 | 中 |
実現時期 | - |
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) | 17 (地球惑星科学) |
分析データ クラスタ | 2 (マシンインテリジェンス/センシング・データサイエンス) |
研究段階
-
インパクト
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必要な要素
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