NISTEP注目科学技術 - 2023_W168
概要
折り紙の幾何学的に「折って創る」発想をDNAナノテクノロジーで具現化したナノ折り紙技術が、今後実現されると大いに期待される。私は現在、このナノ折り紙技術のうち、概念実証としてナノサイズのミウラ折りの開発を行っている。
折り紙の幾何的な折りたたみと展開は、折り紙工学として多岐にわたる産業応用可能性を有している。この研究分野における日本人の貢献は極めて大きく、日本人の名前を冠した折り方が多数存在する。特に三浦公亮博士が開発したミウラ折りは、平坦な大面積構造を小さく折りたたむことを可能にし、地図や人工衛星の太陽電池パネルなどのマクロスケールで幅広く利用されている。しかし、可逆的な折りたたみと展開というミウラ折りの動的な折りプロセスをナノスケールに適用した例は皆無である。
このミウラ折りの折りプロセスをナノサイズの構造体にそのまま再現するために必要な技術が、DNAオリガミである。DNAオリガミはDNAを素材としてナノサイズの構造体を設計、作製するDNAナノテクノロジーの一種であり,2006年に米国カリフォルニア工科大学のP. W. K. Rothemund教授によって発表された。これは⻑い1本鎖DNAを多数の短い1本鎖DNAで固定することで、主に静的なナノ構造体を形成する技術であり、力学的に折りたたんで構造を形成する折り紙とは根本的に異なるが、ナノ構造体を1塩基レベルで精密かつ自在に設計可能な技術である。このDNAオリガミ技術を利用して作製する、ナノスケールにおける微小な力とエネルギーの変化に対して敏感に応答可能なナノ構造体がナノ折り紙であり、ナノサイズのミウラ折りがその最初の例となると期待される。
折り紙の幾何的な折りたたみと展開は、折り紙工学として多岐にわたる産業応用可能性を有している。この研究分野における日本人の貢献は極めて大きく、日本人の名前を冠した折り方が多数存在する。特に三浦公亮博士が開発したミウラ折りは、平坦な大面積構造を小さく折りたたむことを可能にし、地図や人工衛星の太陽電池パネルなどのマクロスケールで幅広く利用されている。しかし、可逆的な折りたたみと展開というミウラ折りの動的な折りプロセスをナノスケールに適用した例は皆無である。
このミウラ折りの折りプロセスをナノサイズの構造体にそのまま再現するために必要な技術が、DNAオリガミである。DNAオリガミはDNAを素材としてナノサイズの構造体を設計、作製するDNAナノテクノロジーの一種であり,2006年に米国カリフォルニア工科大学のP. W. K. Rothemund教授によって発表された。これは⻑い1本鎖DNAを多数の短い1本鎖DNAで固定することで、主に静的なナノ構造体を形成する技術であり、力学的に折りたたんで構造を形成する折り紙とは根本的に異なるが、ナノ構造体を1塩基レベルで精密かつ自在に設計可能な技術である。このDNAオリガミ技術を利用して作製する、ナノスケールにおける微小な力とエネルギーの変化に対して敏感に応答可能なナノ構造体がナノ折り紙であり、ナノサイズのミウラ折りがその最初の例となると期待される。
キーワード
折り紙 / DNAナノテクノロジー / DNAオリガミ / メタマテリアル
ID | 2023_W168 |
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調査回 | 2023 |
注目/兆し | 兆し |
所属機関 | 大学 |
専門分野 | ナノテクノロジー・材料 |
専門度 | 高 |
実現時期 | - |
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) | 28 (ナノマイクロ科学) |
分析データ クラスタ | 54 (理化学/分子化学) |
研究段階
ナノ折り紙、とりわけナノサイズのミウラ折りは、私が研究室にて現在専用のCADによるおおよその設計が完了している。学会発表や論文発表ではナノ折り紙の報告は未だになされていないため、順調に研究が進めば私のナノサイズのミウラ折りがナノ折り紙の最初の報告となる。
インパクト
ナノ折り紙、とりわけナノミウラ折りの開発は、以下3つの観点から学術界および社会に影響を与え得る。
(1)ボトムアップ型メタマテリアルの開発
ナノミウラ折りを構成分子とすることで、負のポアソン比をもつ機械的メタマテリアルを作製することが可能となる。例えば、二次元の気水界面を利用すれば、ナノミウラ折りで構成される二次元集積膜を繰り返し固体基板に転写することで、三次元積層膜として機械的メタマテリアルを得ることが可能である。
(2)走性を付与したナノロボットの開発
折り紙は、物体を柔らかく変形、駆動させることが可能な構造設計手法である。特にミウラ折りは可逆的な折りたたみと展開というの表面を特定の官能基で化学修飾することで、アメーバのような走性を付与したナノロボットを開発可能する。
(3)時空間芸術の創出
時間とともに空間的に変化し続ける文様は時空間芸術と呼ばれる。力学的な外部刺激印加によって引き起こされる、ナノ折り紙の二次元界面における折りたたみと展開という動的挙動を原子間力顕微鏡でその場観察することで、その芸術としての側面を見出すことができる。
(1)ボトムアップ型メタマテリアルの開発
ナノミウラ折りを構成分子とすることで、負のポアソン比をもつ機械的メタマテリアルを作製することが可能となる。例えば、二次元の気水界面を利用すれば、ナノミウラ折りで構成される二次元集積膜を繰り返し固体基板に転写することで、三次元積層膜として機械的メタマテリアルを得ることが可能である。
(2)走性を付与したナノロボットの開発
折り紙は、物体を柔らかく変形、駆動させることが可能な構造設計手法である。特にミウラ折りは可逆的な折りたたみと展開というの表面を特定の官能基で化学修飾することで、アメーバのような走性を付与したナノロボットを開発可能する。
(3)時空間芸術の創出
時間とともに空間的に変化し続ける文様は時空間芸術と呼ばれる。力学的な外部刺激印加によって引き起こされる、ナノ折り紙の二次元界面における折りたたみと展開という動的挙動を原子間力顕微鏡でその場観察することで、その芸術としての側面を見出すことができる。
必要な要素
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