NISTEP注目科学技術 - 2023_W164
概要
溶液を光共振器に入れるだけで(光照射なしに)化学反応の速度や選択性が変化することが2012年あたりから報告され始め,現在,世界的に注目されている.ポラリトン化学(polariton chemistry)や振動強結合(vibrational strong coupling)と呼ばれ,溶液中の分子と光との超強結合(ultrastrong coupling)によって引き起こされていると考えられているが,原理は未解明である.これまで,光照射による化学反応の制御が試みられてきたが,光を照射せず,ただ光共振器に入れるだけで変化することが驚きを持って世界の研究者に受け止められている.光共振器による強結合という,従来とは異なる制御軸によって,いわゆる難反応とされてきた化学反応の制御が可能になるかもしれず,エネルギー・気候・食料などの社会課題を改善しうる科学技術に発展する可能性がある.
キーワード
ポラリトン化学(polariton chemistry) / 振動強結合(vibrational strong coupling) / 超強結合(ultrastrong coupling) / 分子振動 / 光化学
ID | 2023_W164 |
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調査回 | 2023 |
注目/兆し | 兆し |
所属機関 | 大学 |
専門分野 | ナノテクノロジー・材料 |
専門度 | 中 |
実現時期 | - |
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) | 32 (物理化学、機能物性化学) |
分析データ クラスタ | 54 (理化学/分子化学) |
研究段階
現象が起こっていることは確実視されているが,まだ原理が科学的に明らかになっていない
インパクト
・共振器中の光場との結合のみで化学反応が変化しうるという知の創出
・その現象による難反応の制御という技術
・難反応制御による既存産業の発展、産業競争力の向上、製法の改良
・それによる環境・エネルギー・資源・生態系への貢献
・それによる社会課題の解決
・その現象による難反応の制御という技術
・難反応制御による既存産業の発展、産業競争力の向上、製法の改良
・それによる環境・エネルギー・資源・生態系への貢献
・それによる社会課題の解決
必要な要素
原理を科学的に解明するための基礎研究の振興