NISTEP注目科学技術 - 2023_W158
概要
従来の生物学は個々の分子の機能を追求し、生物を分解することで理解しようとする還元主義的な生物学であった。現在、バイオインフォマティクスにおけるオミクスや、理論生物学における複雑系など、全体性を重視する考え方が生物学者の間にも知られてきてはいるが、実験系生物学の主流は今なお個々の分子の機能を追求する研究である。その中で、個々の分子や特定の種に限定された生命現象ではなく、生命の普遍的特徴をとらえようとする試みが、東京大学「生物普遍性連携研究機構」の設立に象徴されるように、個々の研究者の意識の中だけでなく組織的な形をもって動き始めている。普遍的な生命理論の追及はアリストテレスの時代からなされてきたことではあるが、学問的知識の増大に伴って見直されることで新たな視点をもたらす。ここ10年ほどの間に、DNAシークエンス技術など実験技術の進歩により非モデル生物研究のハードルが下がり、ハイスループットの実験系が数多く構築され、定量的な計測系に基づく新時代の生命理論の構築の素地が整ってきている。生命の普遍的特徴をとらえようとする試みにより、生物学という学問に対する意識の大幅な転換につながることが期待される。
キーワード
普遍生物学 / 構成生物学 / 理論生物学 / 階層性 / 力学系
ID | 2023_W158 |
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調査回 | 2023 |
注目/兆し | 兆し |
所属機関 | 大学 |
専門分野 | ライフサイエンス |
専門度 | 中 |
実現時期 | - |
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) | 1 (思想、芸術) |
分析データ クラスタ | 29 (社会心理学・行動経済学) |
研究段階
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インパクト
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必要な要素
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