NISTEP注目科学技術 - 2023_W155
概要
系統的汎化技術(機械学習技術の一部): 学習データ内に存在している概念の、学習データ内に存在していない組み合わせに対する汎化を可能とする技術。人間-物体相互作用検出(human-object interaction detection)問題を例に取ると、学習データに「人が車を洗っている画像」、「人が象を洗っている画像」、「人が馬を連れ歩いている画像」、「人が馬に乗っている画像」が含まれていた時、「人が馬を洗っている」画像が与えられてもそのことを検出できるような学習を可能とする技術を指します。
キーワード
機械学習 / 深層学習 / 人工知能
ID | 2023_W155 |
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調査回 | 2023 |
注目/兆し | 兆し |
所属機関 | 企業 |
専門分野 | 情報通信 |
専門度 | 高 |
実現時期 | - |
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) | 61 (人間情報学) |
分析データ クラスタ | 18 (マシンインテリジェンス/ロボティクス・人間工学) |
研究段階
系統的汎化は人間と人工ニューラルネットワークの違いとして1980年代から認識されていました。様々な(ベンチマーク)問題における深層ニューラルネットワーク(Deep Neural Network; DNN)の目覚ましい成果を受け、近年、DNNが系統的汎化能力を持つかどうかを調べる研究、あるいはDNNの系統的汎化能力を向上させる研究が行われています。今のところ、いくつかのアプローチ(学習データの多様性を増す、DNNにモジュール構造を導入する等)が系統的汎化性能を向上させることは確認されていますが、それでも満足のいくような系統的汎化を実現するには至っていません。
インパクト
実問題においては、興味の対象となる概念の組み合わせ全てを網羅した学習データを期待することはできません。深層学習技術が様々な(ベンチマーク)問題で成果を上げている一方、Q4で述べたように、現行の深層学習技術では学習データに含まれていなかった組み合わせに対しては十分な性能が達成されません。系統的汎化技術が実現されれば、機械学習技術の産業応用の価値をさらに高めることになります。また、系統的汎化はこれまで人間特有のものであったため、系統的汎化技術が実現されれば、認知科学、神経科学の研究にも貢献すると期待されます。
必要な要素
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