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NISTEP注目科学技術 - 2023_E79

『細胞外小胞を活用したパラバイオーシス療法による疾患治療』。パラバイオーシスは、歴史的には「異時齢パラバイオーシス」として知られ、若い個体と老いた個体の2つの動物（主にマウス）の循環系を外科的に接続し、血液とその成分を共有する研究が進められてきました。この手法は、老いた動物の組織や臓器の再生促進、認知機能向上、筋肉や肝臓、神経系などの修復・再生、さらに健康寿命の延長などに効果があると期待されています。その詳細な分子機構は未解明でしたが、近年の細胞外小胞研究の進展により、細胞外小胞を中心としたパラバイオーシス療法によって、様々な疾患の治療や高齢化社会において必要とされる新たな医療技術の開発が期待されています。

ここで重要なのは、細胞外小胞を単なる分子の集合体としてではなく、生体システムの方向性を調節する複合因子として捉えるアプローチが求められることです。従来の分子生物学的な考え方に加え、サイバネティクスやシステムズバイオロジー的な視点が不可欠となってくるでしょう。これらの研究が進展することで、細胞外小胞を活用したパラバイオーシス療法が、疾患治療や高齢化社会における新たな医療技術の創出に大きく寄与することが期待されます。

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