NISTEP注目科学技術 - 2023_W135

概要
市場に流通している製品に環境負荷情報を付与するICT技術を開発し、サプライチェーンで発生するあらゆる環境や社会への負荷(CO2排出、生物多様性、資源枯渇、汚染、不公正な就労など)とその発生地域を可視化する技術と制度の進化に期待している
キーワード
サプライチェーン / 環境負荷 / ICT技術 / 持続可能社会 / SDGs
ID 2023_W135
調査回 2023
注目/兆し 兆し
所属機関 大学
専門分野 環境
専門度
実現時期 -
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) 64 (環境保全対策)
分析データ クラスタ 15 (経済学)
研究段階
Moran and Kanemoto (2021)によると、消費行動がサプライチェーンを通じて世界中の地域の生物多様性にどの程度の脅威を与えているかを、産業連関表をもとに集計し地域別に可視化する研究が進められている。一方、企業が開示する環境や社会への負荷をコード化しあらゆる製品に付与するための技術や環境負荷情報のデータベース構築や、社会に実装するための法整備は進んでいないと思われる。

Moran and Kanemoto (2021) Nature Ecology & Evolution 1: 0023
インパクト
環境負荷情報を製品に付与するための技術と法整備を進めることができれば、消費行動が他地域の環境や社会に対してどの程度の負荷を与えているかを消費者が容易に理解することができるようになる。例えば、購入対象製品の生産から販売に至る過程で発生する負荷量(CO2排出、生物多様性、資源枯渇、汚染、不公正な就労など)とその発生地域をスマートフォン等で把握することができれば、消費者が環境負荷の低い商品を選ぶ行動を促進することができるのではないか。このようなデジタルツールが開発されれば消費者の意識の変容をもたらし、環境配慮行動や相互理解、国際協力等の促進を通じて持続可能な社会の構築に大きく寄与することができると考えている。
必要な要素
ICT技術の開発と環境情報のデータベース構築はもちろん最も重要であるが、企業があらゆる環境負荷情報を開示すること、国がそのための法整備を進めること、消費者が積極的に低負荷の製品を選択するための啓蒙や仕組みを進めることがそれ以上に重要と思われる。