NISTEP注目科学技術 - 2023_W132
概要
【エピジェネティクス・環境DNA分析技術による生態系モニタリング】
・エピジェネティクスとは、DNAの塩基配列に後から加わった修飾に着目したものであり、魚類をはじめとする野生生物の研究では、そのメチル化機構に着目して遺伝情報から生物の年齢等の生体情報を推定する取り組みも見られる。
・一方で環境DNAの採取・分析により、環境中の水や土壌などからその環境に分布する生物種を把握する研究も多く進められている。海洋環境中の有用水産資源の調査においても、海水中の環境DNAから水産資源を魚種ごとに定量的に把握する研究手法の開発もすすめられている。
・もし、環境DNAの採取・分析において、そのメチル化解析も併せて実施出来れば、環境中の水や土壌を採取して分析することだけで、分布する生物の種類や量のみならず、その年齢構造すらも明らかにすることが出来るかもしれない。
・従来、野生生物環境のモニタリングにおいては、膨大な時間と労力をかけた観察・採集・サンプル分析が必要となっているが、エピジェネティクスと環境DNAを合わせた分析が可能になれば、定期的に環境の水や土壌を採取・分析するのみで生態系のモニタリングが可能になる。
・エピジェネティクスとは、DNAの塩基配列に後から加わった修飾に着目したものであり、魚類をはじめとする野生生物の研究では、そのメチル化機構に着目して遺伝情報から生物の年齢等の生体情報を推定する取り組みも見られる。
・一方で環境DNAの採取・分析により、環境中の水や土壌などからその環境に分布する生物種を把握する研究も多く進められている。海洋環境中の有用水産資源の調査においても、海水中の環境DNAから水産資源を魚種ごとに定量的に把握する研究手法の開発もすすめられている。
・もし、環境DNAの採取・分析において、そのメチル化解析も併せて実施出来れば、環境中の水や土壌を採取して分析することだけで、分布する生物の種類や量のみならず、その年齢構造すらも明らかにすることが出来るかもしれない。
・従来、野生生物環境のモニタリングにおいては、膨大な時間と労力をかけた観察・採集・サンプル分析が必要となっているが、エピジェネティクスと環境DNAを合わせた分析が可能になれば、定期的に環境の水や土壌を採取・分析するのみで生態系のモニタリングが可能になる。
キーワード
エピジェネティクス / 環境DNA / 生態系モニタリング
ID | 2023_W132 |
---|---|
調査回 | 2023 |
注目/兆し | 兆し |
所属機関 | 公的機関 |
専門分野 | 環境 |
専門度 | 低 |
実現時期 | - |
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) | 40 (森林圏科学、水圏応用科学) |
分析データ クラスタ | 51 (生物生態・多様性) |
研究段階
・エピジェネティクスを用いた生物の年齢情報等の分析技術は、様々な生物で結果が出始めた段階にある。
・環境DNAを用いた生物種の確認は湖沼等の閉鎖水域では十分に利用可能であることが示されているが、海洋などの開放系水域では定量的な分析に足るか否か研究が進められているところと思われる。
・環境DNAのエピジェネティクスは、未だ研究が開始された段階であり、手法は確立されていない。
・環境DNAを用いた生物種の確認は湖沼等の閉鎖水域では十分に利用可能であることが示されているが、海洋などの開放系水域では定量的な分析に足るか否か研究が進められているところと思われる。
・環境DNAのエピジェネティクスは、未だ研究が開始された段階であり、手法は確立されていない。
インパクト
・環境DNAのエピジェネティクスが可能になれば、簡単簡便に生態系の詳細なモニタリングを実現できる。
必要な要素
・近年、大気中からも人間を含むを含む生物のDNA採集の成功事例が示されるなど、環境DNAの分析手法は大きく進展している。
・エピジェネティクスは野生生物のみならず、人間に対しても適用可能な技術であり、もし環境中のDNAのエピジェネティクスが可能になれば、空気を採取するだけでその地域の人間の年齢や疾病に関する情報を推定することも不可能ではなくなるかもしれない。
・実現すれば野生生物の調査に有益な技術であるが、人間に応用した場合は保護すべき個人情報などの倫理的問題も起こり得ることに留意が必要である。
・エピジェネティクスは野生生物のみならず、人間に対しても適用可能な技術であり、もし環境中のDNAのエピジェネティクスが可能になれば、空気を採取するだけでその地域の人間の年齢や疾病に関する情報を推定することも不可能ではなくなるかもしれない。
・実現すれば野生生物の調査に有益な技術であるが、人間に応用した場合は保護すべき個人情報などの倫理的問題も起こり得ることに留意が必要である。