NISTEP注目科学技術 - 2023_E78

概要
人では簡単に到達できない水深50mを超える深さにおいて,海中観測や海中作業を実施する事が出来る水中ドローン.現状では有線による遠隔操作で動作する遠隔操作型のロボットが主流であるが,有線ケーブルがロボットの行動や運用に制限を加えている.このケーブルを排して,飛ぶドローンと同様に自由に動きまわり,画像を確認しながら遠隔操作ができるようになると考えている.
また洋上ドローン(遠隔操作船舶)も技術的には実現可能となっている.近年の低軌道衛星通信などにより,洋上のはるか遠くにいる船のカメラ映像を陸上でリアルタイムに見る事が出来るようになった.陸上のパソコンでそのカメラ映像を確認しながら船を操縦すれば,無人で小型船舶が運用可能となり,無人であれば衣食住の問題から難しかった小型船舶での長期間連続行動も可能となると予想する.
キーワード
ロボット / 無人 / 遠隔 / 海洋
ID 2023_E78
調査回 2023
注目/兆し 注目
所属機関 公的機関
専門分野 宇宙・海洋・科学基盤
専門度
実現時期 5年未満
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) 24 (航空宇宙工学、船舶海洋工学)
分析データ クラスタ 2 (マシンインテリジェンス/センシング・データサイエンス)
研究段階
実用性を確認している段階.ただし船舶の航行については法的な問題もあり,技術的には問題無くとも,法的・社会的な問題で実現が遅延する事が十分に考えられる.
インパクト
陸地から遠い洋上や,近いけれども未知の点が多い海中の探査と利用が大きく進むと予想される.これまでの海は魚を取るための狩場としての利用がほとんどで,陸地でないことのデメリットばかりが目立っていた.人が生活するには過酷な場所であり,人がそこで何かを実行すること自体が難しい事が根本的な原因と考えているが,ロボットにとっては決して過酷な場所では無い.ロボットにより海の開拓が進めば,海のあらたな利用価値を生み出す可能性があり,例えば海を土地として利用する将来も期待できるかもしれない.
必要な要素
カメラ映像をみながらリアルタイムでロボットを制御できれば,海中および洋上ドローンの実用性が大きく向上する.そのためには無線通信の高容量化が必要であるが,現在の水中における無線通信技術が弱く,水中光無線通信などの新しい高速・高容量水中無線通信が必要と考える.また洋上と陸上をつなぐ大容量の衛星通信の拡充も必要である.