NISTEP注目科学技術 - 2023_W126

概要
海水を汲み上げて上空に噴霧することにより反射率の高い雲を形成して海水温の抑制につなげる、海洋の雲の白色化という技術です。局所的あるいは広域的に実施することによって、地球温暖化に伴う海水温上昇を抑制するための一助となりえます。
キーワード
環境科学技術 / 気候工学 / 太陽放射改変
ID 2023_W126
調査回 2023
注目/兆し 兆し
所属機関 大学
専門分野 環境
専門度
実現時期 -
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) 40 (森林圏科学、水圏応用科学)
分析データ クラスタ 14 (気候)
研究段階
オーストラリアのグレート・バリア・リーフで局所的な実証実験が行われたほか、海水を汲み上げて上空に噴霧するエネルギー・費用効率的な方法や副作用を含む気候への影響に関する計算機シミュレーション研究が行われている段階です。
インパクト
豊かな生態系を形成しているサンゴ礁は、地球温暖化がもたらす海水温の上昇に対して非常に脆弱であることが知られ、その保全が急務となっていますが、対策が難しい状況です。この技術は、その根本的な原因である海水温について上昇を抑制しようとするもので、副作用が小さく済むようであれば、気候変動がもたらす悪影響を軽減するための一つの手段として有用となることが期待されます。
必要な要素
海水を汲み上げて上空に噴霧するエネルギー・費用効率的な方法の開発、副作用を含む効果の検証、および、実施に関する社会的な合意形成・国際的なガバナンスなどが主な課題となるように思われます。