NISTEP注目科学技術 - 2023_W122
概要
「エレクトロニックノーズシステムの開発」
人間の五感(視覚、聴覚、触覚、味覚および嗅覚)に相当するセンサシステムの中で、一番遅れているのが嗅覚に相当する「ニオイセンサシステム」である。「ニオイセンサシステム」すなわち「エレクトロニックノーズシステム」を開発するには、ニオイ物質をどのように認識し、どのようなトランスデューサーを用いるかを明らかにすることが重要であると考えられる。現在、ニオイ物質の吸着により生ずる①酸化物半導体の抵抗変化、②水晶振動子により質量変化、③表面プラズモン共鳴(SPR)による屈折率変化および④人間の嗅細胞を再現し、それをニオイ物質の認識に用いたニオイセンサシステムなどが検討されており、現在は、まだ実験室段階ではあるが、今後期待できる技術の一つとなると考えられる。
人間の五感(視覚、聴覚、触覚、味覚および嗅覚)に相当するセンサシステムの中で、一番遅れているのが嗅覚に相当する「ニオイセンサシステム」である。「ニオイセンサシステム」すなわち「エレクトロニックノーズシステム」を開発するには、ニオイ物質をどのように認識し、どのようなトランスデューサーを用いるかを明らかにすることが重要であると考えられる。現在、ニオイ物質の吸着により生ずる①酸化物半導体の抵抗変化、②水晶振動子により質量変化、③表面プラズモン共鳴(SPR)による屈折率変化および④人間の嗅細胞を再現し、それをニオイ物質の認識に用いたニオイセンサシステムなどが検討されており、現在は、まだ実験室段階ではあるが、今後期待できる技術の一つとなると考えられる。
キーワード
ニオイセンサ / エレクトロニックノーズシステム / ニオイ分子の認識 / 人の嗅細胞の模倣
ID | 2023_W122 |
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調査回 | 2023 |
注目/兆し | 兆し |
所属機関 | 大学 |
専門分野 | その他 |
専門度 | 中 |
実現時期 | - |
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) | 61 (人間情報学) |
分析データ クラスタ | 18 (マシンインテリジェンス/ロボティクス・人間工学) |
研究段階
研究室で開発している段階ではあるが、最近、企業も興味を持ってきている重要な技術の一つである。ニオイ分子と相互作用をするセンサ表面の現象の解明は、いまだ確立されていないが、このあたりの研究が進めば、実用化の目途が立つものと思われる。この分野の研究開発においても、人間や動物の嗅覚生理学に携わる研究者、センサを設計・製作する工学者及び実用化を手掛ける企業の3者による融合研究が必須であると考えられる。
インパクト
インテリジェントな「エレクトロニックノーズシステム」が開発されればその応用分野は広く、社会に与えるインパクトは大である。応用分野としては、医学分野(ニオイセンサによる癌や呼吸疾患のモニタリングなど)、食品飲料分野(飲食品の製造工程・品質管理におけるニオイセンサシステムによる客観的な評価)、香料分野(ニオイセンサによる香料の客観的な評価)および防災分野(火災の早期発見、地雷の発見など)等への応用が可能であり、その市場は、現時点では、約10兆円、将来的には、100兆円規模になると予測されている。
必要な要素
我々の身の回りに存在する約50万種の「ニオイ物質」を整理する「ものさし」を実現することは、実用化に向けて最も重要なことであると認識している。すなわち、視覚(光)、聴覚(音)、触覚(圧力など)に相当するセンサが測る物理量は「ものさし」があり客観的に定義できる。また化学量を発現して生じる「味覚」においてもその基本味(5種類)が明らかにされているが、「ニオイ」についてのみ基本臭が確定されていない。そのため、現在のアプローチは応用を増す設定しその分野に適合したセンサの開発が行われているが、その系統的な研究が行われていないため、実用化のネックになっているのが現状である。