NISTEP注目科学技術 - 2023_W75
概要
現在の宇宙開発で用いられる機器は、地上から運んだ燃料か太陽光発電によるエネルギーを用いて動作している。太陽光発電は、太陽からの光という外部エネルギーを利用したものであるが、これ以外も宇宙空間における外部の利用可能なものは存在する。例えば、太陽から流れてくる高速のプラズマ流である太陽風であるが、これらは現状では機器にダメージを与える可能性があるから防ぐべき対象である。一方で、この太陽風を磁場を用いてヨットの帆のほうに受け止め推進力得る磁気セイルというアイデアがある。他にも、惑星の持つ磁場と宇宙機搭載コイルとの干渉による運動量交換や、宇宙空間や小惑星表面のガスを利用した推進システムなどが提案されている。これらのように地球から燃料やガス、エネルギー等を運ぶのではなく、宇宙でそれらを得ることでシステムの大幅は軽量化や宇宙空間での自由度向上が期待される。これらを利用して、現在のような必要なものをすべて搭載して運ぶスタイルから、現在の地球上で可能なような、どこでも例えばガソリンスタンドなどから供給できるシステムの構築は、より自由度の高い宇宙利用への足掛かりとなることが期待される。
キーワード
宇宙開発 / エネルギー / 燃料
ID | 2023_W75 |
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調査回 | 2023 |
注目/兆し | 兆し |
所属機関 | 大学 |
専門分野 | 宇宙・海洋・科学基盤 |
専門度 | 中 |
実現時期 | - |
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) | 24 (航空宇宙工学、船舶海洋工学) |
分析データ クラスタ | 36 (熱・流体・波・運動エネルギー) |
研究段階
研究室レベルの基礎研究段階であり、要素技術の開発や、部分的なシミュレーションなどの報告例はあるが、より現実的かつ具体的な開発は行われていない。
インパクト
現在の宇宙関連技術のように、地上でほぼすべての準備を行い宇宙では壊れないような装置を作り、必要な燃料や物資をすべて運ぶような運用は、非常にコストと膨大な時間がかかる。宇宙に行った後にも、気軽にエネルギーの供給や機材の交換、外部環境の利用による物資の低減が実現できれば、宇宙開発のハードルを大幅に下げることが期待される。
必要な要素
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