NISTEP注目科学技術 - 2023_W71

概要
試験管で合成したDNAを卵子に注入し、そこから新たな個体を作製する技術。
キーワード
合成DNA / 合成生物学 / 人工細胞核
ID 2023_W71
調査回 2023
注目/兆し 兆し
所属機関 大学
専門分野 ライフサイエンス
専門度
実現時期 -
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) 40 (森林圏科学、水圏応用科学)
分析データ クラスタ 5 (分子生物学/薬理学)
研究段階
マウス卵子に長さおよそ170kbpの長鎖DNAを注入すると、天然の核(精子や卵子由来の核という意味)と構造が酷似した人工細胞核を作製することができる。現時点ではそれは分裂することはないが、今後は注入するDNA配列をデザインすることにより、さらに発生を進めることができるかもしれない。
インパクト
もし合成DNAから個体を作出することができれば、自由に形質をデザインすることができるようになる。まったく新しい生物を生み出すことも可能になるかもしれない。また、絶滅してしまった動物のDNA配列を元に、それらを新たに復活させることにもつながる可能性がある。
必要な要素
現時点では、まだたったの170Kbpであり、しかもそれは一度の分裂もしていない。最も小さい染色体であるY染色体でさえ、ヒトでは51Mbpであり、数百倍の長さのDNA合成技術を必要とする。さらに、試験管の中で、エピジェネティック修飾を再現することはいまだにほとんど成功していない。合成DNAを使って分裂する胚を作ることは数年でできると思われるが、実際に個体にまで発生させることができるのは、数十年という単位が必要であろう。