NISTEP注目科学技術 - 2023_W63

概要
異分野との協働により生態学を基礎科学からエコテクノロジーへと飛躍させ、自然資本の持続可能性の向上に寄与することが期待できる
キーワード
ネイチャーポジティブ / 生物多様性保全 / 環境ニュートラル / エコインフォマティクス
ID 2023_W63
調査回 2023
注目/兆し 兆し
所属機関 大学
専門分野 環境
専門度
実現時期 -
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) 64 (環境保全対策)
分析データ クラスタ 63 (地域社会学・都市工学)
研究段階
自然資本の劣化等に起因するリスクの定量的評価は、自然資本の持続可能性向上のための第一歩であり、その評価に基づき、リスクを低減可能な事業オプションを提供することが求められている。しかしながら、自然資本(=生態系)からの恵みは多面的なものであるために評価が困難であり、緑地面積・森林面積・生物多様性等の簡易な代替指標を用いてその減少・劣化リスクを定量化するような妥協的な評価が現状である。したがって、自然資本からの恵みそのものを正当に評価する方法の開発が強く求められていると言える。

このような現状で社会実装されているのは「30by30」のように面積ベースでの自然資本の維持保全・活用政策にとどまっている。しかしながら、基盤的研究レベルにおいては、自然資本からの恵み(生態系サービスなど)と生物多様性の関係を定量的に予測する論文が数多く発表されている。生態系の地域依存性が大きいにせよ、原理・現象については20世紀終わりに比べて飛躍的に進んでいると言える。
インパクト
自然資本(生態系)の劣化・棄損リスクの定量化がより精緻になることで、リスクとベネフィットのバランスを最適化するような事業・開発オプションを科学者・技術者側から提示することが可能になる。これにより、テクノロジーとエコロジーが一体化した新しいタイプの科学技術に立脚した社会の実現が可能となる
必要な要素
要素技術について学術論文レベルの確度から実用レベルに向上させるための、繰り返し試験など量的なフォローアップ研究の推進が不可欠である