NISTEP注目科学技術 - 2023_W49

概要
量子コンピュータ、AI、生体分子シークエンサーの融合による瞬時に、超高精度に、DNA・RNAの塩基配列とペプチド・タンパク質のアミノ酸配列を決定する技術。
キーワード
生体分子シークエンサー / AI / 量子コンピュータ
ID 2023_W49
調査回 2023
注目/兆し 兆し
所属機関 大学
専門分野 ナノテクノロジー・材料
専門度
実現時期 -
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) 43 (分子レベルから細胞レベルの生物学)
分析データ クラスタ 5 (分子生物学/薬理学)
研究段階
現時点で、DNAシークエンサーとAIは、極めて高度に融合しているものがある。しかし、RNAシークエンサーとペプチド・プロテインシークエンサーは、研究開発中である。一方、量子コンピュータとAIの融合と、量子コンピュータと生体分子シークエンサーの融合は、まだ数例しかなく、融合の原理は不明で、手探り状態にある。
インパクト
一瞬でDNA・RNA・ペプチド・タンパク質の解析を完了させる技術は、生物・医科学・薬学を根本的に変えるような発見を生み出し、革新的なヒトの疾病診断法、創薬を生み出すと期待される。この技術は、例えば、未知の新興感染症を一瞬で診断できるため、感染症の検査法になる。精神疾患やストレス状態のモニタリングも可能になるため、健康管理に加え、精神状態管理が実現され、その結果、犯罪防止技術の開発も期待できる。また、地球上の99%が不明な細菌のゲノムやタンパクを明らかにすることが可能となり、細菌が関与している海洋、河川、土壌などを制御する技術の開発が期待される。同様に、対象は、ヒトや細菌だけでなく、全ての生物に適用される技術となるため、品種改良による農作物、水産物、畜産物の変革、植物機能の変革による温暖化対策等、地球上の多くの課題が解決されると予測される。
必要な要素
量子コンピュータの実用化とともに、量子コンピュータとAIの融合原理、量子コンピュータと生体分子シークエンサーの融合原理の基礎研究が必須である。やはりここでも、高品質な計測1次計測データがキーになるため、高品質な計測1次データを生み出す計測ハードウエアの迅速な開発が必須となる。また、大量データを扱うインフラ整備も必須となる。このインフラには、大量データを保存するストレージ技術だけでなく、データを高速・暗号化して転送する技術が含まれる。5Gの技術の先を考えると、6Gにするか、スターリンクのように、宇宙を介した通信技術が開発ターゲットになる。