NISTEP注目科学技術 - 2023_W47

概要
食料品の貯蔵・輸送・小売り各段階における成熟や腐敗のAI判別
キーワード
データ駆動科学 / オンサイトリアルタイム分析 / データ駆動科学 / 資源エコシステム
ID 2023_W47
調査回 2023
注目/兆し 兆し
所属機関 公的機関
専門分野 環境
専門度
実現時期 -
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) 41 (社会経済農学、農業工学)
分析データ クラスタ 2 (マシンインテリジェンス/センシング・データサイエンス)
研究段階
食料の歩留まりを上げることは、利用できる食料を増やす手段のひとつである。日本は食料の輸入を大量に行っているが、その20%程度は消費者の手に渡る前に廃棄されている。その原因のひとつに、大量の輸入食料品を管理する難しさがある。
現在は、各流通ステップにいる管理者の目で不良品を除き、出荷の順番を決めている。この管理者の目を分析データで置き換えることができれば、より効率よく、ベストなタイミングで食料品(生鮮食品)を消費者に提供できる。そのために、オンサイトでリアルタイムに分析し、AIによる判断を含めながら監視するシステムの構築が、大学と企業のコンソーシアムにより進められている。

インパクト
社会基盤の強化と、一次産業の競争力強化
必要な要素
測定装置やその設置方法、再現性の良い測定方法の構築、モニターする物質の決定など、難易度の高いボトルネックが存在するが、近年趨勢を見せるオミクス分野の知識、知見を用いて解決されると信じている。
最も難易度が高いと思われる要因は、通常の分析と異なり、オープンエア(密閉されていない)空間で試料を採取し、機器分析する必要があることだ。生鮮食品のガスを計測しようと思うと、何かしらの物差しに対し、化合物Aがどのように変化したか、を見ることになる。通常のラボではプラスチックバックなどに封入し、採取するガスの濃度を平均化できるが、現場ではそうもいかない。温度、湿度、空調など、試料採取や測定に影響を与える要因は山積みである。これらを解決する方法は、農業生産者、輸送を担う会社、小売り業者、装置メーカー、大学が協業して知恵を出し合う必要がある。(そのためには、各連携企業・大学をまとめる機関なり専属コーディネーターなりが必要かもしれない。)
そのうえで、社会実験を繰り返し、既存の流通に実装できるのか、判断する必要がある。