NISTEP注目科学技術 - 2023_W28
概要
・微細藻類のバイオマスプラスチック
石油由来のプラスチックの代替として期待され、様々な形態のプラスチックが想定される。大別すると、藻類の光合成によって生み出されるプラスチックあるいは原料となる。プラスチックそのものを生成させる場合は1次加工のみ、原料のモノマーを生成させる場合は重合させる必要がある。そのた、藻類の体組成を構成するセルロースを化学的に変性させてプラスチックとして利用することも可能である。これらは光合成由来のため大気中のCO2を固定化して製造され、地下資源を消費することなく、カーボンニュートラル扱いとなる。また、類似技術として、植物由来のバイオマスプラスチックは既に実用化されているが、「可食」植物の利用による食糧競合問題などは存在しない。さらに成長速度も微細藻類の方が圧倒的に高いため、供給面やコスト面でも本技術の実現によるメリットは大きい。昨今、SDGsやカーボンニュートラル政策を受けて、幅広い領域で実用化に向けた研究開発が進んでおり、国内外でプロジェクトが推進されている。
石油由来のプラスチックの代替として期待され、様々な形態のプラスチックが想定される。大別すると、藻類の光合成によって生み出されるプラスチックあるいは原料となる。プラスチックそのものを生成させる場合は1次加工のみ、原料のモノマーを生成させる場合は重合させる必要がある。そのた、藻類の体組成を構成するセルロースを化学的に変性させてプラスチックとして利用することも可能である。これらは光合成由来のため大気中のCO2を固定化して製造され、地下資源を消費することなく、カーボンニュートラル扱いとなる。また、類似技術として、植物由来のバイオマスプラスチックは既に実用化されているが、「可食」植物の利用による食糧競合問題などは存在しない。さらに成長速度も微細藻類の方が圧倒的に高いため、供給面やコスト面でも本技術の実現によるメリットは大きい。昨今、SDGsやカーボンニュートラル政策を受けて、幅広い領域で実用化に向けた研究開発が進んでおり、国内外でプロジェクトが推進されている。
キーワード
カーボンニュートラル / 二酸化炭素技術 / バイオマス資源 / 合成生物学 / マテリアルズ・インフォマティクス技術
ID | 2023_W28 |
---|---|
調査回 | 2023 |
注目/兆し | 兆し |
所属機関 | 企業 |
専門分野 | ナノテクノロジー・材料 |
専門度 | 高 |
実現時期 | - |
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) | 64 (環境保全対策) |
分析データ クラスタ | 31 (環境化学) |
研究段階
近年では数種のプロジェクトが進行しており、試験的な切片のレベルでは生成できること発表されている。しかし、実用に耐えうるバイオマスプラスチックとはいいがたい。また、コストはほぼ度外視といってよく、汎用プラスチックを狙える発表はない。これらは大きな課題である。いずれにせよ、ブレイクスルーが必要である。
インパクト
石油由来プラスチックとの競合が始まる。さらに、石油関連企業の業態構造が変わる可能性もある。ただし、プラスチック特性の設計自由度は、圧倒的に劣るため、適用領域は限定され、棲み分けはされる可能性が高い。また、汎用プラスチックのコストと並ぶにはかなりのブレイクスルーが必要となる上、昨今はケミカルリサイクル技術の進化も考慮しなければならない。藻類由来のバイオマスプラスチックは、カーボンニュートラル技術であるが、見方によってはカーボンネガティブ(吸収)となるため、カーボンクレジットや炭素税としての取引されることも期待できる。
必要な要素
■要素技術の進展
・バイオマス生成効率の高い藻類株種
・安価で効率よく培養が可能なバイオリアクター
・細胞を非破壊でバイオマスを抽出する精製技術
・狙いの原料(モノマー)を生成させるための遺伝子編集
・バイオマスへの耐熱や耐強度などの特性付与技術など
■社会的要素
・遺伝子編集生物の規制緩和
・石油由来材料への追加税やバイオマスへの減税
・石油由来プラスチックや排出への規制強化
・バイオマス生成効率の高い藻類株種
・安価で効率よく培養が可能なバイオリアクター
・細胞を非破壊でバイオマスを抽出する精製技術
・狙いの原料(モノマー)を生成させるための遺伝子編集
・バイオマスへの耐熱や耐強度などの特性付与技術など
■社会的要素
・遺伝子編集生物の規制緩和
・石油由来材料への追加税やバイオマスへの減税
・石油由来プラスチックや排出への規制強化