NISTEP注目科学技術 - 2023_W27

概要
近年、社会課題として考えられつつある発達障害に着目した。現在のところ、発達障害がある人たちは、症状として「他人とのコミュニケーションが苦手」な人たちとして考えられている。その当事者を対象とした、コミュニケーションの円滑化のための計測技術・情報支援技術が今後の兆し科学技術として考えられる。
現在、大人を含め、発達障害であると言われている人たちが増えてきており、現在の社会ではある種、色眼鏡で見られていることが多い。しかしながら、コミュニケーションを行う人たちが「知る」、当事者が「支援される」という科学技術が発展することにより、現在の社会で蔓延しているある種の色眼鏡が解消される可能性を含んでいる。
キーワード
人工知能 / ヒューマン・インタラクション / コミュニケーション支援
ID 2023_W27
調査回 2023
注目/兆し 兆し
所属機関 公的機関
専門分野 ライフサイエンス
専門度
実現時期 -
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) 9 (教育学)
分析データ クラスタ 34 (子育て・メンタルヘルス・学校教育)
研究段階
ヒトとヒトとのコミュニケーション(インタラクション)において、特に、接客現場での発話音声を活用した音声解析を実施している。しかしながら、当該実験は実験室実験の範囲であり、また模擬接客現場を再現した実験環境下での発話音声を活用していることもあり、コミュニケーションが苦手な人たちのデータ取得はできていない。その解決策の一つとして、我々が所有している接客応対場面の音声データを蓄積したデータベースを活用することで、発話者の感情を推定することが可能となること、また発話中におけるコミュニケーションの円滑度を推定することが可能となることが予想される。つまり、技術が進展すれば、マイクロホンの精度向上やAI技術による発話者の推定がリアルタイムで可能となり、会話の「バロメータ」の推定が可能になることが示唆される。
インパクト
知(科学基盤・基礎科学)の創出、今後の新たな技術の創出、他分野へ波及効果(新分野の創出、他分野の発展加速等)、新たなサービス・事業・産業の創出、個人・社会の安全・安心の維持・向上、個人・社会の健康・幸福度向上、社会的課題の解決
必要な要素
実験室実験での検証が不可欠であるものの、被験者に対する倫理的配慮が極めて重要であると考えられる。また、対象となる人たちの親族・関係者に対する十分な実験の趣旨の説明が極めて重要である。さらに、医学的な知見を得る可能性も含んでいるため、厚生労働省の人を対象とする医学系研究に関する倫理指針を踏まえ、慎重な研究計画の立案が必要になると考えられる。