注目科学技術マップで分析 データ一覧

NISTEP注目科学技術 - 2023_W25

脳とデジタル技術の融合：
採用される技術は不明であるが、現在、埋め込み型チップや非侵襲的な脳波の解析、あるいは神経細胞のボトムアップ的アプローチで、脳の活動を定量化・デジタル化して読み出したり、データベースとして蓄積したり、あるいは逆に脳に働きかけることを目指した研究が始まってきている。これにより、記憶・感覚・感情などの情報をデジタル変換し、転送・共有・保存を可能にしたり、逆に、デジタル的にコマンドを入力することで、脳機能に働きかけることが可能となるかもしれない。

まず、脳の活動を客観データとしてアウトプットする技術を開発・統合する段階。特に脳波などの部分的な理解だけでなく、包括的に理解する技術のブレイクスルーが必要と考えられる。
次に、読みだしたデータを、デジタル技術と繋ぐ段階。
その後、脳とデジタルインターフェースとで相互に信号のやり取りを行い、応用する段階。

他社の記憶を転送できると、教育の方法が根本的に変わる。コミュニケーション方法も劇的に変化する。言語や国の制限も無くなり、政治的にも大きな影響を与えるだろう。個人の働き方、人生設計も大きく変化する。

個人の存在意義といった根源的な問いや、倫理的な問題、教育システムの抜本的な変革など、従来の価値観や構造を根底から考え直す議論が必要。科学技術の成熟だけでは危険で、社会的な理解や運用方法の議論などの成熟も同時に必要である。