NISTEP注目科学技術 - 2023_W16

概要
使用済み核燃料から核分裂生成物を取り出し(再処理)、「原子力電池」として再利用する。利用先は月面基地の電源。月面に人は住んでいないし、何百年と放置しておいても地球環境に影響を与えることはまずなく、むしろその間、電気を供給してもらえるのでありがたい(事実上の最終処分)。月の両極以外では夜が15日間続くので、将来、探査範囲を広げる際に、燃料電池だけでは問題が生じると思われる。再処理にコストがかかるのは存じていますが、未処理、埋設処分だと、(真面目に考えれば)数万年間、管理し続けなければならず「管理費が膨大になる」はず。「最終処分までの費用」を考えれば、月面での再利用(処分)の方がコスト的に有利になるはず。
キーワード
原子力電池 / 宇宙探査 / 宇宙利用
ID 2023_W16
調査回 2023
注目/兆し 兆し
所属機関 公的機関
専門分野 ナノテクノロジー・材料
専門度
実現時期 -
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) 31 (原子力工学、地球資源工学、エネルギー学)
分析データ クラスタ 2 (マシンインテリジェンス/センシング・データサイエンス)
研究段階
研究室で開発している段階。一部で実用化している段階。
原子力電池はすでに惑星探査機(ボイジャー)や火星探査機(キュリオシティ)で使われているので、確立した技術。使用済み核燃料の再処理はフランスにおいてはできている。地上で使われている例もある。
しかし、月面基地が実現していないので、「需要」がない状態。しかし、数10年後に月面基地ができた場合は必要になってくると思われる。月面では水が手に入りにくいので、十分な冷却が必要な「軽水炉型原子炉」は難しいと思われる。
インパクト
知(科学基盤・基礎科学)の創出:月の低緯度における月面探査。月面基地の実現。
環境・エネルギー・資源・生態系への貢献、社会的課題の解決:
使用済み核燃料を地球環境に影響を与えない形での事実上の最終処分。
必要な要素
スペースプレーンなどの安価、かつ、信頼性の高い宇宙往還技術。
それによる月面基地の実現。