NISTEP注目科学技術 - 2023_E59
概要
制御工学の分野において,従来のモデルベース制御と機械学習などの人工知能を融合した制御手法が今後産業界での実装を期待されています.また人工知能についてですが,ひと昔前までに注目されていたファジィ推論に関する制御系が再び台頭するかもしれません.具体的には,機械学習とファジィの融合です.
キーワード
制御工学 / 機械学習 / ファジィ推論
ID | 2023_E59 |
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調査回 | 2023 |
注目/兆し | 注目 |
所属機関 | 大学 |
専門分野 | ものづくり |
専門度 | 高 |
実現時期 | 10年以降 |
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) | 21 (電気電子工学) |
分析データ クラスタ | 46 (データサイエンス/機械学習・AI) |
研究段階
モデルベース制御と機械学習の融合については,また研究室で開発している段階で,本格的な産業界の実用には至っていません.一方,ファジィ推論は広く産業界で応用されています.ただファジィとモデルベース,あるいは機械学習を融合した制御系はアカデミックの領域に留まっています.
インパクト
従来のモデルベース制御では太刀打ちできなかった複雑なシステムの制御測が,人工知能により獲得されるため,産業競争力(ロボットや自動車分野)が向上します.また,日本のような人口の少ない国では,どうしても学習データの量や豊富さを要する機械学習のみに頼った道は難しいと考えられます.一方,ファジィは少ない限られた知識から,未知の状況に対応する方策を推論できる技術です.いわばこの職人芸のようなファジィ技術は日本の社会的背景にあっており,これに部分的でに機械学習やモデルベース制御の利点を融合した方針は,今後少子高齢化が加速する日本の産業界,特に制御分野に有用かと思います.
必要な要素
それぞれの要素技術の研究も重要ですが,そのような地道なアカデミアにおける取り組みを後押しする国や社会のサポートも必要です.もちろん,研究者側の積極的なアウトリーチ活動や海外ジャーナルでの論文発表といった活動も重要です.