NISTEP注目科学技術 - 2023_E578
概要
ナノポアシークエンシングは、塩溶液を区切る膜とそこに埋め込まれたCsgGタンパク質などのナノポアから構成される。この膜に電圧をかけておき、核酸分子がナノポアを通るときの電流値の変動パターンから配列を決定する。たとえばDNAの場合なら4つのヌクレオシドごとの電流変化パターンをあらかじめ機械学習させておき、未知試料の電流変化パターンから塩基配列を読み取ることができる。この方法は従来の核酸配列決定法と異なり、1分子の核酸の塩基配列を直接しかも比較的長く読み取ることが出来るのでゲノム科学において重要な技術となりつつある。しかし、近年注目を集める新しい遺伝子発現調節因子であるRNAの転写後修飾の解析においては、識別すべきヌクレオシドなどの種類数がDNA配列決定と比べ圧倒的に多い(RNA修飾データベースには150種類程度が記載されている)ため、現状ではこの方法の修飾RNA解析への適用は限定的である。RNA転写後修飾の直接解析の最も有力な方法は現時点では質量分析であるが、この方法の検出限界はfmol程度であるため、ナノポアシークエンシングが適用できれば多くの発現量の少ないmRNAの修飾の実体解明が進む可能性が高い。
キーワード
ゲノム科学 / 機械学習 / 1分子測定
ID | 2023_E578 |
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調査回 | 2023 |
注目/兆し | 注目 |
所属機関 | 公的機関 |
専門分野 | ライフサイエンス |
専門度 | 中 |
実現時期 | 5年以降10年未満 |
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) | 43 (分子レベルから細胞レベルの生物学) |
分析データ クラスタ | 5 (分子生物学/薬理学) |
研究段階
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インパクト
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必要な要素
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