NISTEP注目科学技術 - 2023_E564

概要
「先端表面分析装置のためのクライオ処理技術」
 材料等の解析に使われる高度な先端表面分析装置は、そのほとんどが精密化や高感度化のために装置内部が真空となっており、水などの液体や揮発性成分を含む対象を詳しく調べるにはクライオ技術が必要となる。
 例えば、主に体内の水で輸送される薬を蛍光標識等で動態観察する次の段階として高度な局在解析を行う場合や、水の侵入が原因となるようなコンデンサ等の半導体部品の故障解析、有機薄膜ハイブリッド材料の製品開発など、固体のみならず液相気相成分をも考慮に入れた複合材料に対する高度な分析の需要は高まっている。また、宇宙探査機の帰還試料に含まれる宇宙の水の同位体組成を直接分析する試みも行われはじめている。
 クライオ技術には広範な需要があり、2017年ノーベル化学賞のクライオ電子顕微鏡法をはじめ、これまでに様々な先端分析技術がクライオ対応を果たしているにも関わらず、実証段階を超えて成果を社会還元するまでに至っていないように思われる。
 問題は、装置自体はクライオ化されているが、試料をクライオ環境下で前処理する方法や装置内部へ搬送する手順が未熟であったり、正しく行える人材が確保できないなど、クライオ試料の取り扱いが難しい点にあり、高価なクライオ対応の分析装置を導入したものの稼働率が上がらないという状況が見受けられる。
 現在、質量分析装置のクライオ化が急速に進展しており、先端材料だけでなくシャンプーや湿布など膾炙しやすい製品への応用が始まることで、試料のクライオ処理技術の向上が期待される。それにより、既にクライオ化を達成している高度先端分析装置の活性化も見込まれる。
キーワード
クライオ / / イメージング
ID 2023_E564
調査回 2023
注目/兆し 注目
所属機関 大学
専門分野 宇宙・海洋・科学基盤
専門度
実現時期 5年未満
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) 34 (無機・錯体化学、分析化学)
分析データ クラスタ 31 (環境化学)
研究段階
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インパクト
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必要な要素
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