NISTEP注目科学技術 - 2023_E544

概要
極限補償光学における超高分解能・超高コントラスト観測。すばる望遠鏡に搭載された188素子の超補償光学を3000素子へアップグレートすることで、これまでよりさらに高精度に地球大気を補正した観測を行うことが可能になる。
現在、太陽系外惑星は数多く発見されているが、そのほとんどは間接的な発見であり、直接撮像された例はまだ限られているうえ、その全てが木星のようなガス惑星である。近年注目されている、太陽近傍に存在する暗い恒星である赤色矮星周りの系外惑星探査のため、赤外線による波面補正と観測の両立も実現しつつあり、この技術と極限補償光学が実現んすることにより、さらに多くの太陽系外惑星の「直接撮像」が可能になる。
今後、この技術を30m望遠鏡TMTなどの超大型望遠鏡にも実装することで、太陽近傍にある赤色矮星周りに存在する、液体の水が存在可能な領域(ハビタブルゾーン)にある地球型惑星を直接撮像の実現が期待される。
キーワード
宇宙 / 補償光学 / 系外惑星 / 直接撮像 / ハビタブルゾーン
ID 2023_E544
調査回 2023
注目/兆し 注目
所属機関 大学
専門分野 宇宙・海洋・科学基盤
専門度
実現時期 5年未満
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) 16 (天文学)
分析データ クラスタ 9 (素粒子・原子核・宇宙物理学)
研究段階
極限補償光学の心臓部である3000素子レベルの可変鏡の開発は進んでいるため、数年以内にすばる望遠鏡への実装が可能。
インパクト
系外惑星の直接撮像が可能になると、その次に惑星大気などの環境調査が進むことになる。さらに、地球型惑星でその環境調査が進むと、そこに生命がいる可能性「バイオシグナチャー」を探すことになる。天文学だけでなく、地球科学・惑星科学・生物学などを含めたアストロバイオロジーという分野の大事なマイルストーンとなる。
社会的にも、「生命が地球だけか」という一般的にも興味関心が高い項目へ、何かしらのヒントが得られることになる。
必要な要素
地球型系外惑星の直接撮像には、TMTが必要となる。そのため、ハワイでの現地での説明や理解が必須。