NISTEP注目科学技術 - 2023_E532
概要
タンパク立体構造予測に基づく合理的なタンパク分子設計
キーワード
計算生物学 / 合成生物学 / 機械学習 / 分子設計 / インシリコ創薬
ID | 2023_E532 |
---|---|
調査回 | 2023 |
注目/兆し | 注目 |
所属機関 | 大学 |
専門分野 | ライフサイエンス |
専門度 | 中 |
実現時期 | 5年以降10年未満 |
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) | 47 (薬学) |
分析データ クラスタ | 5 (分子生物学/薬理学) |
研究段階
タンパク質立体構造予測については、2020年にGoogle DeepMindより発表されたAlphaFold2により飛躍的な精度向上がなされた。多くのタンパクについて創薬研究に応用可能な程度の高精度での予測が可能となったが、依然、弱点も指摘されており、その克服を目指した研究も続けられている段階である。
一方で、特定の構造に折り畳むタンパク質の構造設計については、経験的な手法に基づいて以前より研究が進められ、小さなタンパク分子や部分構造については設計手法が原理的な部分も含めて確立されてきていた(例えば米国David Bakerグループや日本では古賀 信康氏ら)。上記の構造予測との両方向からのアプローチにより、機能的なタンパク分子全体のde novoでの設計が可能になると思われ、現に研究が発表され始めている。
創薬への応用には10~20年かかると思われるが、技術の確立までの期間として5~10年と想定した。
一方で、特定の構造に折り畳むタンパク質の構造設計については、経験的な手法に基づいて以前より研究が進められ、小さなタンパク分子や部分構造については設計手法が原理的な部分も含めて確立されてきていた(例えば米国David Bakerグループや日本では古賀 信康氏ら)。上記の構造予測との両方向からのアプローチにより、機能的なタンパク分子全体のde novoでの設計が可能になると思われ、現に研究が発表され始めている。
創薬への応用には10~20年かかると思われるが、技術の確立までの期間として5~10年と想定した。
インパクト
計算機を利用した創薬の分野において、生体内のタンパク質等の高分子を標的とした低分子を医薬品として設計する従来の手法に加えて、タンパク質を医薬品として合理的に設計する道が拓かれる。従来は天然物を用いていた抗体医薬などの分野でも非天然タンパク質により性能向上につながる可能性がある。
天然にない特性を持つタンパク質を合理設計に基づき構築することで、材料・ナノテクノロジー分野等でも材料としてのタンパク分子の応用が期待できる。
天然にない特性を持つタンパク質を合理設計に基づき構築することで、材料・ナノテクノロジー分野等でも材料としてのタンパク分子の応用が期待できる。
必要な要素
・要求される計算機性能が相当に大きなものとなる可能性は高い。
・医薬品などへの応用には、通常の安全性評価を行うのはもちろんだが、その上でも社会的受容の上で(mRNAワクチンであったような)抵抗感が示される可能性はあるかも知れない。
・医薬品などへの応用には、通常の安全性評価を行うのはもちろんだが、その上でも社会的受容の上で(mRNAワクチンであったような)抵抗感が示される可能性はあるかも知れない。