NISTEP注目科学技術 - 2023_E520

概要
コンピュータの発展により,数値シミュレーション技術を製品の設計・製造に活用する計算機支援工学 (CAE) が実用化されている.身近な工学問題において水や空気の流れは重要な要素であり,流体工学は CAE を代表する分野となっ ている.しかしながら,さらなる設計要求の高度化・多様化から,CAE 技術に 含まれる不確実性への対処が必要となってきている.流体工学の分野でより精度の高い現象解析および状態推定を実現するために,計測データを利用して数値シミュレーションの不確実性を低減するデータ同化に注目が集まっている.従来,データ同化は気象分野における時空間スケールの幅広い数値シミュレーションの精度を高めるために発展してきたが,データ同化は流体科学を利用した工学分野に広く適用できると考えられる.
キーワード
データ駆動科学 / デジタルツイン / 流体工学 / CAE
ID 2023_E520
調査回 2023
注目/兆し 注目
所属機関 大学
専門分野 ものづくり
専門度
実現時期 5年未満
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) 60 (情報科学、情報工学)
分析データ クラスタ 46 (データサイエンス/機械学習・AI)
研究段階
気象分野では天気予報に実用化されている。一方、工学分野では、企業でも取組が見られるが、研究段階にある。
インパクト
例えば流体分野では風洞実験がよく用いられる。風洞実験における画像計測と数値流体力学に基づくシミュレーションをデータ同化で融合することで不確かさを減らす、リアルとヴァーチャルを融合した新しい実験法「風洞実験デジタルツイン」が提案されている。この「風洞実験デジタルツイン」は、計測上の物理的制約で拘束された画像計測から、必要とするすべてのデータをデジタルツイン上で取得することを可能にする。デジタルツインの構築に必要なデータ量を明らかにし、十分な精度を保証するための指針を得て、デジタルツインを介した風洞実験データの自由な取得を可能にし、ポストコロナの時代に求められる風洞実験の省力化、遠隔化、自動化に資する。
必要な要素
データ駆動科学の発展が資する。