NISTEP注目科学技術 - 2023_E517

概要
・テラヘルツ波帯における表面プラズモン共鳴を利用したセンサデバイス
 光波帯において表面プラズモン共鳴(SPR)現象はよく知られている。数pg/mL程度の極めて微量な物質を高感度に検出することが可能である。SPRセンサはすでに実用に供され、特に医療分野において抗原-抗体反応などの測定に広く用いられている。光波帯でのSPRセンサでは、プリズム上に金(Au)薄膜を40nm程度蒸着させたデバイスがしばしば利用される。光波帯で金属は負の誘電率を持ち、金属と誘電体の境界に表面波(表面プラズモンポラリトン)が伝搬する。この表面波の特性は試料の誘電率に敏感に反応するので、高感度のセンサとして動作する。
 他方、テラヘルツ波帯では、金属に電磁波が浸透せず、SPRが励振されない。テラヘルツ波帯でSPRを励振できる材料として、InSbやInAsなどの半導体がある。近年、これらの半導体を利用して、導波路型のSPRセンサが検討され、水の温度特性や水溶液の濃度などの測定可能性が理論的に示された。また、テラヘルツ波帯には、水素結合のような分子間の振動、分子内の内部回転運動などが含まれ、分子の構造や運動状態などの多くの情報が存在している。以上のように、種々のセンシング応用に活用できるテラヘルツ波帯でのSPRセンサの実現が期待されている。
キーワード
テラヘルツセンシング技術 / 表面プラズモン共鳴センサ / テラヘルツ光源
ID 2023_E517
調査回 2023
注目/兆し 注目
所属機関 大学
専門分野 情報通信
専門度
実現時期 10年以降
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) 21 (電気電子工学)
分析データ クラスタ 37 (電磁波・光学・レーザー・光半導体)
研究段階
コンピュータを用いたシミュレーション研究により原理・現象が明らかになった段階。
インパクト
・今後の新たな技術の創出
・新たなサービス・事業・産業の創出
必要な要素
卓上で簡易に利用できるテラヘルツ光源が必要