NISTEP注目科学技術 - 2023_E516

概要
AIを利用した合意形成支援システムの社会実装。
現在、試験的に運用されている合意形成支援システムだが、その効果は限定的である。合意形成支援システムに期待される役割は本来、あるテーマに対して様々な人が様々な意見を投稿する、システムは多様な意見を整理集約して再提示し議論の収斂に貢献する、というものである。しかし、現在運用されているD-agree(https://d-agree.com/site/)は、その機能を十分に果たせず、運用する人間のオペレーターが手動で整理集約するという本末転倒が生じている。
しかしながら昨今のchatGPTのようなLLMの爆発的普及により、意見集約が容易になりつつある。
D-agreeのようなシステムにLLMを搭載することで、実用的な合意形成支援システムの実現が実現し、社会実装に進むと予想される。
キーワード
合意形成支援 / 直接民主主義 / LLM
ID 2023_E516
調査回 2023
注目/兆し 注目
所属機関 大学
専門分野 人文・社会科学
専門度
実現時期 5年未満
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) 6 (政治学)
分析データ クラスタ 29 (社会心理学・行動経済学)
研究段階
LLMの進展により、最も困難な技術的ハードルはクリアされたと考える。今後の課題は、技術的な課題も残存するが、バイアスの混入や悪意ある操作への対応・議論参加者の選定・議論するテーマの選定方法・形成された合意の扱いといった社会的政治的な課題にフォーカスが移ると考えている。
インパクト
様々な地域課題から放射性廃棄物の地層処分などの重い政治課題に対し、より多くの国民が議論に参加する場を設けることができるとともに、暫定的とはいえ一定の結論(合意)が導出されることが可能になる。その結果、国民の社会に対する満足度の向上が見込まれる。
また、翻訳AIなどと組み合わせ国境を越えた議論が可能になるが、よりシビアな国際政治の問題が絡むため、社会的政治的ハードルが重くのしかかることが予想される。
必要な要素
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