NISTEP注目科学技術 - 2023_E515
概要
ハイパースペクトルイメージングのパーソナル化。スマホカメラは従来のデジカメと同じく、赤、緑、青の3原色で画像を撮影している。これをより多く、細かい刻みの波長で撮影できるようになれば、撮影対象の光のスペクトルが正確にわかるようになり、そこから例えば食品や農産物の鮮度・品質・産地等の情報を非破壊で知ることができるようになる。このカメラのためのイメージセンサの技術は欧州IMECによって確立されてきていて、個々人のスマホに搭載されるまでに残っているのはあとコストの問題のみのようである。
なお従来の三原色スマホカメラ画像からAIで品質を判断するサービスなどもすでに出てきている。しかし元の画像がそもそも三原色の、少ない色情報しか含んでいないので、光スペクトルの推定精度には限界がある。
なお従来の三原色スマホカメラ画像からAIで品質を判断するサービスなどもすでに出てきている。しかし元の画像がそもそも三原色の、少ない色情報しか含んでいないので、光スペクトルの推定精度には限界がある。
キーワード
ハイパースペクトルイメージング / マルチスペクトルイメージング / 光スペクトル計測 / 非破壊検査
ID | 2023_E515 |
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調査回 | 2023 |
注目/兆し | 注目 |
所属機関 | 大学 |
専門分野 | その他 |
専門度 | 中 |
実現時期 | 5年以降10年未満 |
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) | 61 (人間情報学) |
分析データ クラスタ | 18 (マシンインテリジェンス/ロボティクス・人間工学) |
研究段階
すでに企業で開発が進んでいる。
その一方で、各国の大学を中心に、数学的および物理的なレベルからの原理の解明にかかる研究も継続して行われている。
その一方で、各国の大学を中心に、数学的および物理的なレベルからの原理の解明にかかる研究も継続して行われている。
インパクト
カラーフィルムおよびテレビジョンが発明されて以来、人間が外界を認識し表現する際には長く光又は色の三原色が使われてきた。上記の技術が普及すれば、ヒトの視覚で識別できるかできないか、の制約を超えて、身の回りにある様々なものの色表現や色認識の可能性が大いに広がると思われる。
上述した食品の品質識別の他にも、ヒトに見えない塗料で塗装に情報コードを埋め込んだり、コンサート会場で様々な波長の照明光に別の舞台演出効果を持たせて、来場者ごとに違う映像を見せたりするなど。「色」「光」に関する我々の通念や考え方が根本的に変わる可能性がある。
上述した食品の品質識別の他にも、ヒトに見えない塗料で塗装に情報コードを埋め込んだり、コンサート会場で様々な波長の照明光に別の舞台演出効果を持たせて、来場者ごとに違う映像を見せたりするなど。「色」「光」に関する我々の通念や考え方が根本的に変わる可能性がある。
必要な要素
要素技術の進展。
一部製品化が始められているが、2つの点で留意すべきことがある。
1.任意の波長で正確に光を捉えるセンサの技術。製造可能になった技術を使って実用化が始まっているが、それらは必ずしも波長を捉える性能が高くない。また例えば、可視光だけでなく紫外線も赤外線も同時に捉えられるようなセンサ技術も、現状で存在しない。
2.AI・機械学習による画像処理技術。カメラのハードウェアだけできてもダメで、撮った画像を情報処理して意味のある情報を引き出すアルゴリズムが必要である。有効なアルゴリズムの探索と、効果的な教師データの収集が課題となると思われる。従来型の三原色カメラなら、Webカメラや監視カメラのようにただ設置しておくだけで自動で大量の教師画像を集められる。しかし多波長カメラの場合、質の高い教師データをどうやって集めるのか?は課題である。
一部製品化が始められているが、2つの点で留意すべきことがある。
1.任意の波長で正確に光を捉えるセンサの技術。製造可能になった技術を使って実用化が始まっているが、それらは必ずしも波長を捉える性能が高くない。また例えば、可視光だけでなく紫外線も赤外線も同時に捉えられるようなセンサ技術も、現状で存在しない。
2.AI・機械学習による画像処理技術。カメラのハードウェアだけできてもダメで、撮った画像を情報処理して意味のある情報を引き出すアルゴリズムが必要である。有効なアルゴリズムの探索と、効果的な教師データの収集が課題となると思われる。従来型の三原色カメラなら、Webカメラや監視カメラのようにただ設置しておくだけで自動で大量の教師画像を集められる。しかし多波長カメラの場合、質の高い教師データをどうやって集めるのか?は課題である。