NISTEP注目科学技術 - 2023_E505
概要
AIを活用した科学研究そのもの及び研究プロセスにもたらす変革、特に、合成生物学に着目している。
AIの特徴であるデータ処理、機械学習、予測分析などの高度な能力を活用した、科学的発見の加速による学問の進展、AIを活用した融合領域の創出が今のトレンドである。その中での代表例として、合成生物学、中でも、昨今注目されるデノボタンパク質(人工タンパク質)設計・創製の領域について採り上げる。
デノボタンパク質設計研究そのものは30年以上前から取り組まれているが、AI(GoogぇのAlphaFold)の登場で急速に研究の発展と産業への活用が見込まれる領域となった。アカデミア的アプローチとして、20世紀から課題とされてきたタンパク質の構築原理を解明する研究と共にデノボタンパク質設計の研究は進められてきたが、AIの登場でパラダイムシフトが起きた。AIの活用で、目的の構造・機能を有するタンパク質設計の実用化に向けた研究開発が急速に進展しつつある。
AIの特徴であるデータ処理、機械学習、予測分析などの高度な能力を活用した、科学的発見の加速による学問の進展、AIを活用した融合領域の創出が今のトレンドである。その中での代表例として、合成生物学、中でも、昨今注目されるデノボタンパク質(人工タンパク質)設計・創製の領域について採り上げる。
デノボタンパク質設計研究そのものは30年以上前から取り組まれているが、AI(GoogぇのAlphaFold)の登場で急速に研究の発展と産業への活用が見込まれる領域となった。アカデミア的アプローチとして、20世紀から課題とされてきたタンパク質の構築原理を解明する研究と共にデノボタンパク質設計の研究は進められてきたが、AIの登場でパラダイムシフトが起きた。AIの活用で、目的の構造・機能を有するタンパク質設計の実用化に向けた研究開発が急速に進展しつつある。
キーワード
合成生物学 / 機械学習 / 人工タンパク質 / デノボデザイン
ID | 2023_E505 |
---|---|
調査回 | 2023 |
注目/兆し | 注目 |
所属機関 | 企業 |
専門分野 | 人文・社会科学 |
専門度 | 中 |
実現時期 | 5年以降10年未満 |
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) | 43 (分子レベルから細胞レベルの生物学) |
分析データ クラスタ | 46 (データサイエンス/機械学習・AI) |
研究段階
アカデミア側の研究も活発であるが、現在では、研究開発の担い手が米国と中心としたベンチャー企業に移りつつある段階である。創薬・食品・材料への応用が期待されており、企業の投資も増えていくと想定される。ただし、実用化にはもう少し時間がかかる。
この分野は技術的にできることが増えている段階であるが、実用化には、ドライの分野の研究者・技術者(AIやバイオインフォマティクス分野の研究者)及びウェット分野(実験系)の研究者・技術者による分野間の協力が不可欠な分野である。また、人工タンパク質の利活用とその安全性について、国レベルでの議論は一部にとどまる。
この分野は技術的にできることが増えている段階であるが、実用化には、ドライの分野の研究者・技術者(AIやバイオインフォマティクス分野の研究者)及びウェット分野(実験系)の研究者・技術者による分野間の協力が不可欠な分野である。また、人工タンパク質の利活用とその安全性について、国レベルでの議論は一部にとどまる。
インパクト
注目する合成生物学・人工タンパク質設計・創製の分野は創薬・食品・材料等への応用が期待されており、企業の投資も増えていくと想定される。
目的とする機能を有するタンパク質合成までの手段が確立されれば、新たなサービス・事業・産業の創出、既存産業の発展への寄与、産業競争力の向上、技術・素材・製品・製法等の改良、新たな雇用創出につながる。
実用化が進めば、個人・社会の安全・安心の維持・向上に大きな社会的インパクトをもたらす。
目的とする機能を有するタンパク質合成までの手段が確立されれば、新たなサービス・事業・産業の創出、既存産業の発展への寄与、産業競争力の向上、技術・素材・製品・製法等の改良、新たな雇用創出につながる。
実用化が進めば、個人・社会の安全・安心の維持・向上に大きな社会的インパクトをもたらす。
必要な要素
・注目する科学技術は、技術的にできることが増えている段階であるが、TRLに見る実用化のレベルはまだ低い。現在は目的通りの構造を有するタンパク質・ペプチドの設計ができつつある段階であり、目的の機能を有するタンパク質の実現はできていないと考えている。
・実用化に向けては異なる分野の研究者間の連携、あるいは特定の研究分野・技術だけでなく周辺領域の知識をもった研究者がいることも必要である。
・人工タンパク質は「自然に存在しないもの」である。人工タンパク質の利活用とその安全性についての議論は、アカデミア等一部での議論に限定されている。国民の社会的受容性に関する議論を早い段階で深めていかないと、実用化させていくことは難しくなる可能性がある。
・実用化に向けては異なる分野の研究者間の連携、あるいは特定の研究分野・技術だけでなく周辺領域の知識をもった研究者がいることも必要である。
・人工タンパク質は「自然に存在しないもの」である。人工タンパク質の利活用とその安全性についての議論は、アカデミア等一部での議論に限定されている。国民の社会的受容性に関する議論を早い段階で深めていかないと、実用化させていくことは難しくなる可能性がある。