NISTEP注目科学技術 - 2023_E493

概要
センシング技術を活用した官能評価への応用技術に注目している。従来の分析型の官能評価においては、パネリストの育成や人数の確保といった課題が存在していたが、香りや味に対するセンサー技術が発達し、更に近年では主成分分析などの統計処理技術や機械学習の手法が組み合わされることによって、官能評価の代替手法となることも期待されている。
キーワード
官能評価 / センシング技術 / 統計処理 / 機械学習
ID 2023_E493
調査回 2023
注目/兆し 注目
所属機関 公的機関
専門分野 ものづくり
専門度
実現時期 5年未満
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) 8 (社会学)
分析データ クラスタ 46 (データサイエンス/機械学習・AI)
研究段階
脂質膜を用いた味覚センサーや金属酸化物半導体センサーを用いた匂いセンサーに加えて、画像解析による解析や食感(テクスチャ―)の評価など、より多角的に評価を行うセンシング技術については、産官学の連携などを通じて既に測定機器の実用化まで研究が進展しているものもある。これらの技術を単独又は組み合わせて用いることで、製品や半製品を分類あるいはマッピングするといった研究報告も一定数なされている。
インパクト
官能評価の代替手段として、パネリストの育成や人数確保などが必要なく、どのような地域や機関においても安定した香りや味に関するデータの収集が可能となるため、製品の品質向上や製品開発の迅速化に伴う産業競争力の強化といった影響が期待される。また、マッピングなどにより香りや味の特徴を視覚的に表現することが可能となるため、海外等へのプロモーションといった場面においても寄与が期待される。
必要な要素
分類は可能なものの、そのグループ間での違いが官能的にどのような違いを表しているのかについては、得られたデータと実際に官能評価を行ったデータとの関係性を解析する必要があり、十分な検討がなされていない食品の分野も見受けられる。また、マッピングの違いに寄与している成分を明らかにしなければ、製造工程の改善方法まで言及することができず、目的とした製品の品質改善が達成されないといった課題が残ってしまうため、成分分析結果との比較・検討も今後、より深く実施していくことが求められる。そのような検討を行う上では、センシング技術、官能評価、そして統計解析の専門家などが分野横断的に連携していくことが求められる。また、センサー自体が大型あるいは高価であるものについては、より小型で安いコストで利用できるセンサーを開発することで、上記のような検討をより幅広い分野で実施することが可能になると考えられる。