NISTEP注目科学技術 - 2023_E474

概要
地球表面の約7割を占める海洋における火山噴火は,地表環境に大きな影響を与え,時には火山噴火による直接的な災害だけでなく噴火により誘発される津波災害なども引き起こす。福徳岡ノ場火山の噴火による大量の軽石漂流問題やフンガトンガ・フンガハアパイ火山の大規模噴火の記憶は新しい。しかしながら,海洋における噴火に関する直接的な観測は多く無く,噴火メカニズムについてはこれまでほとんど理解が進んでいなかった。近年,衛星を用いた地球規模での観測技術や海洋調査船を用いた海底地質調査などの発展により,海洋における火山噴火過程の理解が急激に進んでいる。さらに,地上の火山噴火を予測するために発展した火山噴火モデルを海洋での火山噴火へ応用する研究も始まっている(Rowell et al., 2022 Frontiers in Earth Science)。さらに,これらの研究では,噴火に伴い地表へ放出される揮発性成分(特にSO2)がどの程度,大気圏へ放出されるのか,さらにその揮発性成分が地球の気候変動へ影響を当たるのか否かなども検討され始めている。観測例が増すにつれて,海洋における火山噴火メカニズムの理解が進展し,その地球規模での影響の定量的予測が進むことが期待されている。さらに、このような研究はこれまで固体地球,大気・海洋,宇宙などと縦割りされていた地球惑星科学の分野において,分野融合を必要とする研究分野であり,そのような融合研究が今後どのような発展をするのかも注目に値する。
キーワード
火山噴火 / 海洋 / 予測・観測 / 地球環境
ID 2023_E474
調査回 2023
注目/兆し 注目
所属機関 大学
専門分野 宇宙・海洋・科学基盤
専門度
実現時期 5年以降10年未満
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) 17 (地球惑星科学)
分析データ クラスタ 62 (地震・プレート・地層・マントル)
研究段階
世界中で様々な手法を用いた観測研究,さらに理論研究が進行中。
インパクト
防災,安全安心な生活への貢献,海洋における資源探査等への貢献。
必要な要素
継続的な経済的サポート、コミュニティからのサポートが必要。