NISTEP注目科学技術 - 2023_E458

概要
自動化技術の社会実装の深化。具体的には、情報処理や応答を必要とする利用者が、自らが個別プログラムを必要とせず、処理が行われるものが社会で日常的に使われること。仕組みとしては、AI(人工知能)、5G/6Gを活用したエッジコンピューティングのネットワーク、大容量で安全な計算(量子コンピューティング)等を利用することで、既存のプログラミング、言語モデル、検索技術、信頼性確認モデル等が有機的に結合したもの。これができると、分野横断的なエキスパートシステムを超える機能を誰でもどこでも使えるようになる。
キーワード
人工知能 / 量子コンピュータ / ビックデータ解析 / 社会モデリング
ID 2023_E458
調査回 2023
注目/兆し 注目
所属機関 団体
専門分野 情報通信
専門度
実現時期 5年未満
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) 60 (情報科学、情報工学)
分析データ クラスタ 46 (データサイエンス/機械学習・AI)
研究段階
部分的な成果は既に実証段階であるが、結合や正確性・信頼性といった分野での成果が未開発。応答部分については、BingやBird等には萌芽的なシステムが実装されているが、内容の信頼性については無保証をうたっているChatGPT等を使用しているため、既存のエキスパートシステムと比較しても初歩的段階。
インパクト
上手く使いこなすことができれば、経済効率性や生産性が改善し、社会経済に大きな影響がもたらされると期待できる。一方で、これまで同等業務に従事していた人の雇用が消滅することが見込まれ、新たな産業が経済機会を拡大すると見込まれることから、リスキリングを通じた雇用移動をせざるを得ない。そのため、企業だけでなく、大学や大学院をはじめとした教育機関の役割が増すと考えられる。
必要な要素
欧米ではほとんど抵抗感悪受け入れられつつあるDXについても我が国では、中小企業を中心として優先順位が低いため、自動化技術について、社会的受容性(意識変化をもたらすような公共性、利便性、利得性とのバランスを通じた受け入れられる仕組み)が求められる。
技術面については、情報の信頼性に関する研究についての進展がやや遅れていると考えられるものの、技術的正確性と社会的妥当性の乖離がある場合(科学的には正確であっても一般生活者に分かり難い問題など)、科学コミュニケーション等も重要。