NISTEP注目科学技術 - 2023_E439
概要
シングルセルオミクスがより高度化することが期待されている.シングルセルオミクスは単一の細胞を対象に,ゲノム,発現している遺伝子,核内のクロマチン構造を解析する技術である.これまでは複数の細胞をまとめて解析することしかできず,一細胞の解像度でそれらを解析することは不可能だった.しかし近年単一細胞での遺伝子の共発現を解析するシングルセルRNA-seqが一般化し,核内のオープンクロマチンを同定するシングルセルATAC-seqも実現しつつある.このようにすでに一般化しつつあるシングルセル解析技術であるが,将来的にはこれまで個別に分析されていたゲノム配列,ゲノムへの修飾,遺伝子発現,クロマチン構造など,細胞内の遺伝的な状態が同時に把握できるようになることが期待される.またシングルセルオミクスはまだ非常に高価なため,より低価格化することで大衆化することが期待される.
キーワード
シングルセル / DNA / 細胞 / 遺伝子発現
| ID | 2023_E439 |
|---|---|
| 調査回 | 2023 |
| 注目/兆し | 注目 |
| 所属機関 | 大学 |
| 専門分野 | ライフサイエンス |
| 専門度 | 中 |
| 実現時期 | 5年未満 |
| 分析データ 推定科研費審査区分(中区分) | 43 (分子レベルから細胞レベルの生物学) |
| 分析データ クラスタ | 41 (発生・分化・幹細胞) |
研究段階
シングルセル解析自体はすでに実現化されている.一方で遺伝子発現やクロマチン構造の同時解析の技術は一部に限られており,企業が開発している段階と思われる.今後は限られたサンプルからそれらを同時に明らかにする技術の開発が必要と考えている.
インパクト
ゲノム配列からクロマチン構造,遺伝子発現のつながりが,より高精度かつ簡便に明らかになる.したがって知の創造や医療分野への波及が期待できる.
必要な要素
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