NISTEP注目科学技術 - 2023_E427
概要
私が専門とする食料・農業・農村の持続可能性に関する分野では、10年以上前から国際的にアグロエコロジーが注目されている。直訳すれば「農業生態学」となるが、一学問分野にとどまるものではない。アグロエコロジーは、「農業生態系の働きを研究し説明しようとする科学」であり、「農業をより持続可能なものにしようとする実践」であり、また「農業を生態学的に持続可能で社会的により公正なものにすることを追求する運動」でもあると定義される(ロセット・アルティエリ 2020)。つまり、農業の営みを生態系の物質循環のなかに位置づけて、生態系を持続・発展するような農と食のシステムがアグロエコロジーである。化学農薬・化学肥料や遺伝子操作をした作物を用いない有機農業や自然農法と技術的に重なるが、FAOの定義によると、それだけでなく循環経済や責任あるガバナンス等の社会的側面を含む幅広い概念である(表)。
表3 アグロエコロジーの10要素
1 多様性:自然資源を保全しつつ食料保障を達成するための鍵
2 知の共同創造と共有:参加型アプローチをとれば地域の課題を解決できる
3 相乗効果:多様な生態系サービスと農業生産の間の相乗効果を
4 資源・エネルギー効率性:農場外資源への依存を減らす
5 循環:資源循環は経済的・環境的コストの低減になる
6 レジリエンス(回復力):人間、コミュニティ、生態系システムのレジリエンス強化
7 人間と社会の価値:農村の暮らし、公平性、福祉の改善
8 文化と食の伝統:健康的、多様、文化的な食事を普及する
9 責任ある統治:地域から国家の各段階で責任ある効果的統治メカニズムを
10 循環経済・連帯経済:生産者と消費者を再結合し、包括的・持続的発展を
資料:FAO(2018)より作成。
アグロエコロジーは伝統的な農法と科学の融合であるとされ、海外では政策的にも推進されているが、日本では概念自体がほとんど知られておらず、本格的な研究と支援体制の構築が求められる。
表3 アグロエコロジーの10要素
1 多様性:自然資源を保全しつつ食料保障を達成するための鍵
2 知の共同創造と共有:参加型アプローチをとれば地域の課題を解決できる
3 相乗効果:多様な生態系サービスと農業生産の間の相乗効果を
4 資源・エネルギー効率性:農場外資源への依存を減らす
5 循環:資源循環は経済的・環境的コストの低減になる
6 レジリエンス(回復力):人間、コミュニティ、生態系システムのレジリエンス強化
7 人間と社会の価値:農村の暮らし、公平性、福祉の改善
8 文化と食の伝統:健康的、多様、文化的な食事を普及する
9 責任ある統治:地域から国家の各段階で責任ある効果的統治メカニズムを
10 循環経済・連帯経済:生産者と消費者を再結合し、包括的・持続的発展を
資料:FAO(2018)より作成。
アグロエコロジーは伝統的な農法と科学の融合であるとされ、海外では政策的にも推進されているが、日本では概念自体がほとんど知られておらず、本格的な研究と支援体制の構築が求められる。
キーワード
アグロエコロジー / 多様性 / 循環 / 気候変動対策 / 責任ある統治
| ID | 2023_E427 |
|---|---|
| 調査回 | 2023 |
| 注目/兆し | 注目 |
| 所属機関 | 大学 |
| 専門分野 | 人文・社会科学 |
| 専門度 | 高 |
| 実現時期 | 5年以降10年未満 |
| 分析データ 推定科研費審査区分(中区分) | 41 (社会経済農学、農業工学) |
| 分析データ クラスタ | 63 (地域社会学・都市工学) |
研究段階
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インパクト
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必要な要素
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