NISTEP注目科学技術 - 2023_E409

概要
洋上風力発電開発が進む中で沿岸海域の地質地盤の特徴や地質災害リスクの評価手法に着目しています。
開発のためには、地盤の強度などを調べればよいのですが、陸上でいう所の平野なのか盆地なのかというような土地ごとの特徴が沿岸海域にもあります。陸上の地形形成理論を海底下に埋もれている過去の地形に適応することで、土地ごとの地盤の特徴を調査前にわかりやすく概要を把握できるようになると見込まれています。それがわかっていればより勘所をついた効率的で詳細な調査と地盤評価が行えるようになります。
技術というのと違うかもしれませんが、研究機関による探査が少なく検討があまりなされてこなかった領域で、データを得てとにかくルーチンワークでいいので解析・考察を進めて様々な背景を持つ海域で網羅的な地図を作り、共通点や相違点、特徴の法則性を見出し、パターンごとの特徴や観察の要点を作ることが必要と感じております.
キーワード
防災 / 再生可能エネルギー / 地質災害 / 沿岸海域
ID 2023_E409
調査回 2023
注目/兆し 注目
所属機関 公的機関
専門分野 社会基盤
専門度
実現時期 5年以降10年未満
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) 4 (地理学、文化人類学、民俗学)
分析データ クラスタ 14 (気候)
研究段階
必要性がわかり、いくつかの海域で既に実施されている。過去の成果も読み替えれば、この研究に役立つものも多数あり、掘り出し作業も行われている。日本周辺の様々な背景の海域での事例を積み重ねて海域を埋めていきつつ、パターン分けや一般法則を見出す段階である。
インパクト
沿岸海域の地質がわかることにより、洋上風力発電開発の立地調査の費用・時間が節約され、将来に発生する地質災害を避けたり、被害を事前に見積もることが容易になり、安価で安定した電力供給に貢献できる。沿岸海域の知見から、隣接する沿岸部の地盤状況や地震など地質災害の検討がより進み、社会の強靭化に貢献できる。土地の成り立ちの情報を住民に発振できるので、知的好奇心や郷土愛の充足にも貢献できる.
必要な要素
海域のデータを取得するには船を動かす必要があり、何千万円という経費がかかります。将来的な電気料金を安くできる可能性ということで、税金の投資があればよいのですが、産学官の連携や民間企業独自取得データの共有などで何とか解決できないだろうかと検討していますが、民間同士の競争もあるので難しいところです。