NISTEP注目科学技術 - 2023_E405

概要
分子反応を利用したコンピュータ技術(分子コンピュータ、DNAコンピュータ、DNAストレージ、DNA液滴/ゲルなど)とその応用技術(人工細胞、分子ロボティクスなど)が近年加速度的に進んでいる。DDS、治療用超微小ロボットなどの知的なバイオメディカルデバイス・知的ヘルスケアデバイスの実現に向けた様々な研究が進んでいる。薬剤、核酸、タンパク質等をナノスケールでコンピュータを使って合理的に設計して構築するナノバイオテクノロジーとして研究が進められてきており、近年は分子反応による人工知能の技術なども現れ始めている。
キーワード
分子コンピューティング / 人工細胞 / DNAナノテクノロジー / DNA液滴・DNAゲル / 分子ロボティクス
ID 2023_E405
調査回 2023
注目/兆し 注目
所属機関 大学
専門分野 ライフサイエンス
専門度
実現時期 5年以降10年未満
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) 90 (人間医工学)
分析データ クラスタ 6 (分子生物学/診断・治療)
研究段階
「研究室で開発している段階」から「企業との共同研究が進んでいる段階」への遷移期である。世界的に見ても、研究室の特許取得も進み、また、製薬会社なども興味を持ち始めている。さらに、当該分野の大型プロジェクトが世界的に立ち上がってきており、日本でも現段階で加速しておかないと遅れを取ってしまう状況になりつつある。
インパクト
基礎として:情報分子を扱う新たな物理学・化学・情報科学が発展する。これは従来の静的で均質な材料を扱ってきた物理・化学に、生命様の動的で多様性のある材料を扱う科学へとパラダイムシフトを起こすことにつながる。

新たな技術の創出:分子をプログラムして作る新たな薬、治療ロボットといった従来にない技術を生み出す

他分野への波及:分子人工知能工学、知的人工細胞工学など新しい分野を生み出す

必要な要素
複合領域であることをよく理解しないといけない。このような新規複合分野を発展させるには、新規分野も大学で学べるような仕組みを教育に入れておくことも必要かもしれない。また、新興分野に挑戦する若い人材を生み出すための自由度を持たせないと、世界でなんともなく進められているこのような複合領域の研究を進める足かせとなる。研究者人口を増やし自由度を増す上で、予算を付けることは必要ではないかと考えられる。(他の分野であっても同様だが。)