NISTEP注目科学技術 - 2023_E403
概要
分光分析とAIを統合した非破壊のマテリアル分析技術を、書物の年代測定、真贋判定等に用いる応用技術に注目する。光の波長特性に基づいた画像処理技術は近年めざましい進歩がある。光の波長をより細かく分光した情報が記録された分光画像を最先端の深層学習技術により解析することで、より詳細な画像解析が可能となる。この技術を従来、研究者の経験値により判断されてきた書物(浮世絵・絵巻物)などの非破壊検査に応用することで、人文学の研究領域と理学とが融合しうることを期待している。またそのデータを書物に紐付けていき、従来の書誌情報をより充実したものにしていくことが重要であろう。現状の分析機器は閉鎖空間のなかで微小領域(たとえば紙片など)でしか対応できていないが、書物・巻物等が這入る閉鎖空間に測定装置を自在に移動させることで対応可能であろう。微小領域に留まらぬ測定を可能とし、非破壊による分析が可能となれば、人文学研究を経験値による判断から科学の領域に進める一歩となると考えるし、数億などの評価を得て売買される際に、そのデータを添えることの価値は大きく、その応用範囲は広いと考える。
キーワード
分光分析 / 画像処理 / 深層学習
ID | 2023_E403 |
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調査回 | 2023 |
注目/兆し | 注目 |
所属機関 | 大学 |
専門分野 | その他 |
専門度 | 中 |
実現時期 | 5年未満 |
分析データ 推定科研費審査区分(中区分) | 62 (応用情報学) |
分析データ クラスタ | 46 (データサイエンス/機械学習・AI) |
研究段階
すでに分光分析に関する機器開発は企業との共同研究が進んでおり、一定の機器が開発されている。しかし微小領域の分析に留まるものであり、その応用をすすめることで、多くの汎用的利用が可能となるし、何よりも人文系の研究者にも利用しやすい非破壊による分析装置の開発は、従来の実験室や一部の検査企業の利用に留まっていた機器の開発となり、広く国内外で利活用可能と目される。
インパクト
分析装置といえば、分析装置のなかに収まるだけの試料での分析でしかない。すでに技術的に十分応用可能なレベルに到達しており、その分析装置の部位の移動可能な領域を広げ、コンピュータ制御をすることで、もっと他分野へ波及効果(新分野の創出、他分野の発展加速等)が見いだせるであろうし、新たなサービス・事業・産業の創出にも繋がるものと考える。
必要な要素
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